徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)08月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1558 3面

千葉西病院
三好・妊婦・授乳婦専門薬剤師
妊娠・授乳期の薬物療法
薬学生1000人に指導

「妊娠・授乳期の薬物療法は、止めてしまうデメリットも検討し判断してほしい」と三好主任 6年前から薬学生にオンライン実習を提供

妊娠・授乳期は、基本的に薬を使わないとする傾向は、一般人だけでなく、医療者にすらいまだ根深く存在する。徳洲会グループ唯一の妊婦・授乳婦専門薬剤師である千葉西総合病院の三好文子・薬剤部主任は、世界のスタンダードである「母体への十分かつ適切な薬物療法の提供」を早期啓発するため、2020年から徳洲会グループ病院で実務実習を受ける薬学生に対し、オンラインによる参加型実習を提供。同実習を受けた薬学生は今年度で1,000人に達する。

実習は2日間に分けて行い、1日目は妊娠・授乳期の薬物療法の基礎知識を座学形式で学び、2日目は設定された場面で、どのように服薬指導(カウンセリング)するべきかグループに分かれ話し合う。取材した7月の実務実習ではグループ33病院から53人が参加した。

三好主任がとくに強調していたのは「ベースラインリスク」に沿った情報の提供だ。妊娠・授乳期の薬物療法は、流産や、形の違う子どもが生まれることを恐れるあまり忌避されがちだが、薬物を服用していなくても自然流産する確率は15%、形の違う子どもが生まれる確率は3~5%ある。これをベースラインリスクと呼び、その薬を使うことによるリスクが、ベースラインリスクを超えるかどうかが、薬物療法実施の大きな判断基準となると説明。

さらに、喘息の予防を適切に行わず重症化すると、胎児にも酸素が届きにくくなり、かえって流産の確立を上げてしまうこともあるなど、薬を使わないことによるデメリットについても十分な説明が必要と訴えた。「そもそもお母さんが元気でないと、妊娠や育児を続けることも難しくなります。母体の心身の健康を守る大切さをもっと知ってほしい」と三好主任。

薬のメリット・デメリットをすべて開示したうえで、飲むか飲まないか、最終的には患者さん自身の選択を尊重する「インフォームドチョイス」の考え方も解説した。

ロールプレイで、妊婦さん、授乳婦さんの立場を疑似体験した学生からは、「自分だけでなく周囲の人も、薬物療法について正しく理解していないと薬が飲みづらそう」など啓発の必要性を感じる声が聞かれた。

三好主任は、「妊娠・授乳期の薬物療法については、まだまだ医療者にも誤解が多い」と指摘、「今後、ベースラインリスクに基づいた薬の選択が当たり前の社会をつくっていくため、力を貸してください」と学生らに呼びかけていた。三好主任は徳洲会の妊婦・授乳婦薬物療法研究会の代表でもあり、グループ内外に向けた啓発活動を活発に行っている。

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