
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)08月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1558 4面
鎌ケ谷総合病院(千葉県)は、6月と8月の2段階で420床に増床した。一般病床と回復期リハビリテーション病床を合わせて89床増やし、増加する高齢患者さんを急性期の治療から回復期のリハビリ、在宅復帰まで一貫して支える体制を整えた。同院の増井文昭院長は、今回の増床を土台に、予防から在宅まで切れ目なくつなぐ地域医療の構築を進めていく方針だ。
「医療は治すためのものから、生活の質を守るものへとパラダイムシフトが必要です」と増井院長
鎌ケ谷病院の7階に新設した回復期リハビリテーション病棟が89床に
同院は6月、一般病床を252床から292床に増やし、許可病床を371床とした。その後8月に回復期病床を40床から89床に増やし、420床の超規模病院に生まれ変わった。今回の増床は高齢化による地域の医療需要の変遷が背景にある。
同院は2007年、248床で開院した。同院がある鎌ケ谷市は都心から約25km圏の住宅都市で、人口は約11万人。市の玄関口である新鎌ケ谷駅から徒歩2分、生活圏の中心で地域の身近な医療機関として信頼を得ている。急性期から回復期、さらに緩和ケア病棟「なごみ」、介護老人保健施設「しんかま」を院内に備え、30診療科を擁し、1日平均約800人が外来に訪れる。
一般病床を増やした理由を増井院長は「当院は生活に根差すことを主眼に、地域の一般的な救急や外傷をすべて受け入れています。今後、救急を最も必要とするのは高齢の方々。その方たちの生命(いのち)と生活の質(QOL)を守っていくことが当院の使命です」と、救急応需はもちろんのこと、「自院救急」の体制も敷いている。また、医師の確保を進め、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による手術の拡大などを図り、急性期の診療体制を強化する構えだ。
一方、回復期病床を増やしたのは「高齢患者さんの急性期治療は必ず回復期に、さらに緩和ケアにつながります。包括的に医療を提供する体制を拡充していかなければなりません」と増井院長は説明する。高齢患者さんは急性期の治療が終了した後、回復期でリハビリを受けるなどし、自宅や施設に戻るのが一般的。回復期病床が整えば、急性期病床を次の患者さんに回せ、断らない救急を続けることができる。さらに、高齢社会では、がんに加えて末期腎不全を含めた慢性疾患の終末期医療も重要になってくる。
今後、急性期の治療から回復期、さらには緩和ケアまで、院内で切れ目なくつなぐ体制を、より一層厚くする方針だ。
増井院長は「今や高度な医療、手術を提供するのは、規模の大きい病院として当たり前になっています。私が重きを置くのは、病気を早期に発見して治療を行い、患者さんの生命とQOLを守ることにあります」と語気を強める。「医療の発展を背景に、医療は治すことに加えて、QOLを守るものへとパラダイムシフトが起こっており、順応することが必要です」と強調、この方針を院内で共有し全職員で取り組みを進めている。
その試みのひとつが、3月に始めた検診「人生100年ドック」だ。患者さんの経済的負担を抑え、がんや呼吸器疾患、認知症などQOL低下にかかわるリスクを早期に調べる。基本コースでは、がんが転移しやすい脊椎から股関節までをCT(コンピュータ断層撮影)で撮影する。整形外科が専門の増井院長が、とりわけがんの骨転移を重視するためだ。骨は肺、肝臓に次いで、がんが転移しやすい箇所で、転移すると痛みや骨折で歩けなくなり、在宅生活が難しくなるからだ。
同院は「がんロコモ・骨緩和外来」も今年2月に開設している。がんやその治療によって運動機能が低下する状態を「がんロコモ」といい、増井院長自ら診察にあたり、骨折を起こす前に、薬物療法や放射線治療を実施している。
増井院長が見据えるのは、団塊の世代がすべて65歳以上となる2040年問題。健康な高齢者が健康であり続け、病気になっても自宅で暮らし続けられるよう、検診による予防と、急性期から回復期、緩和、在宅までの切れ目のない医療を提供することを視野に収めている。増井院長は「高度な医療に加えて、予防医療、早期治療を行う病院が求められています」と、10年先を見据えた体制づくりを進めていく。