2021年(令和3年)2月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1272 二面
病気のはなし㊳
50歳以上はPSA検査を! 前立腺がん
前立腺がんは男性のみが罹患(りかん)するがんで、近年、急増している。2017年には胃がんを抜き男性のがん罹患率第1位となった。頻尿、残尿感など排尿に関する症状が見られるものの、罹患率が急増するのは50歳以降であるため、年齢のせいにされ、見逃されやすい。
進行すれば骨や他の臓器に転移することもあり、末期には転移部分に痛みなどの症状が現れる。進行速度は比較的遅く、早期に発見し治療すれば、良好な予後が期待できるため、多くの自治体で、中高年の男性の健診に、前立腺がんのスクリーニングに有効なPSA検査(血液検査)を導入している。「50歳以上になれば、ぜひ積極的に健診を受けていただきたい」と成田富里徳洲会病院(千葉県)の荻島達也・泌尿器科主任部長は訴える。
進行が遅い場合が多いだけに、治療方針は病期や患者年齢によってケースバイケース。たとえば50歳で見つかり、30年以上の期待余命がある場合は、手術など積極的な根治療法を勧める。前立腺は骨盤の最奥にあり、手術は難易度が高いが、現在はロボット手術の普及により、出血量を抑えることも可能となっている。
とはいえ、身体負担もあることから、「70代後半で10~15年かけて、ゆっくり進行するがんの場合などは、身体に負担の少ない薬物療法のみをお勧めする時もあります」。