徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)11月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1264 三面

合併症 予防しADL向上
湘南鎌倉病院の排尿ケアチーム
病棟横断的に介入

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の排尿ケアチームは病棟横断的に活動し、尿道カテーテル抜去前後に排尿障害のある患者さんに介入する取り組みを展開している。チームは医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)で構成し、各病棟のリンクナース(各種専門チームと病棟看護師をつなぐ役割をもつ看護師)と連携し、カンファレンスや病棟回診を実施。適切な排尿ケアを通じ、尿路感染症など合併症の予防や、尿道留置カテーテルの早期抜去、ADL(日常生活動作)の向上や排尿の自立に向けた支援を行っている。

排尿ケアチームの(左から)三浦部長、岩本副主任、渡邊PT排尿ケアチームの(左から)三浦部長、岩本副主任、渡邊PT

「こんにちは。排尿ケアチームです。お小水のことを専門に診ているチームです。何かお困りのことはありませんか」

排尿ケアチーム専任看護師である岩本沙織副主任は、病室のベッドで横になる患者さんに優しく話しかけた。排尿ケアチームによる病棟回診のひとコマだ。泌尿器科の三浦一郎部長をはじめ岩本副主任、リハビリテーション科の渡邊暁PT、各病棟のリンクナースが回診のメンバー。

この患者さんはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で生活し、急な発熱と倦怠(けんたい)感で同院ER(救急外来)を受診。脚の腫れなどから蜂窩織炎(ほうかしきえん)と診断し抗生剤による治療を行った。残尿量が多くERで導尿(一時的にカテーテルを入れて尿を排出)を行い650㎖の尿を排出。病棟に移ってからも残尿が多く1000㎖を超え、排尿ケアチームに尿道留置カテーテルの挿入など介入依頼があった。

回診では、依然として残尿量が多く、この時点で尿道留置カテーテルの抜去は難しいと判断。退院先がサ高住であり医療的ケアが手薄であるため、翌日に控えていた退院日を再検討することとした。

また、この日(土曜日)初めて介入した患者さんの回診では、尿閉による多量の残尿を確認。リハビリを継続しながら週明けに尿道留置カテーテルを抜去し、トイレでの排尿を促していく方針を決めた。尿道留置カテーテルは長期間留置すると、尿路感染症など合併症の原因となったり、ADL低下を招いたりするため、必要な期間が過ぎたら早期抜去が望ましいためだ。

「入院患者さんの高齢化の進展とともに、排尿障害を抱える患者さんは増えています。適切に治療・ケアしなければ入院期間が延びる原因にもなりますし、退院後の生活で排尿の自立はとても重要な要素です。そのため当院では3年前から尿道カテーテル抜去前後に排尿障害のある入院患者さんに介入する排尿ケアチームが活動しています」(三浦部長)

患者さんの状態を日々把握する各病棟の看護師が介入対象を抽出し、排尿ケアチームに介入依頼を行う体制を構築。残尿量は重要な指標であるため、各病棟に1台ずつ残尿測定器を配備し、排尿日誌に毎日、正確に記録。これとは別に排尿ケアチームで1台、残尿量の評価にも使用可能なポータブルエコー(携帯型超音波装置)を運用している。

病棟回診では患者さんの状態を確認し排尿ケアの方針を決定病棟回診では患者さんの状態を確認し排尿ケアの方針を決定

月曜から金曜までは岩本副主任を中心に看護師とPTによるショートカンファレンスとラウンドを毎日行い、土曜日には三浦部長が加わりカンファレンスと回診を実施。適切な排尿ケアの方針を決定し、尿路感染症など合併症の予防や、ADLの維持・向上を図りながら、尿道カテーテルの抜去、排尿の自立を目指した取り組みを実践している。取材で訪れた日は9人の患者さんを回診した。

徳洲会グループ看護部門には、さまざまな分野で優れた取り組みを行うグループ病院で研修を受けることができる「ベストプラクティス研修」という制度がある。同院はこれまで排尿ケアに関して、8病院から同研修で看護師を受け入れるなど、知識・技術の普及にも尽力している。

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