2020年(令和2年)11月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1263 二面
宇治病院 災害訓練で初の試み
必要な情報は何か学ぶ
宇治徳洲会病院(京都府)は10月4日、院内で災害対策訓練を実施した。今回は初めてEMIS(広域災害救急医療情報システム)などの入力訓練と災害対策本部の設置訓練を組み合わせて行い、災害時に把握すべき情報や初動時の病院全体の動きなどを学んだ。
EMIS入力訓練と災害対策本部の設置訓練を組み合わせ
これまでの災害対策訓練は、各部署での情報収集と災害対策本部の設置・運営を同時進行で行っていたため、職員は病院全体がどのような動きをしているか知る機会がなかった。そこで今回は、対策本部の様子を見学すると同時に、EMISと京都健康医療よろずネットに実際に入力する訓練を企画した。訓練の参加は各部署から多職種14人。
能登路賀一・救急救命士科副室長は「コロナ禍で密を避けるため大規模な災害訓練が実施できない状況でしたが、畑倫明先生(救命救急センター長)が小規模だからこそ有意義な訓練ができるはずと、今回の企画を提案されました」と明かす。
訓練は院内のDMAT(国の災害医療チーム)隊員を中心に企画・運営。入力訓練用に同院が立地する山城北医療圏にある病院を想定した事例を作成するなど準備した。
訓練では、能登路副室長がEMISの特徴や入力方法を参加者に解説した後、畑センター長を中心に対策本部を設置。この間、参加者は実際にEMISにログインし、緊急時入力、詳細情報入力に分け、事例をもとに入力訓練を行った。同院は地域災害拠点病院としての対応も求められるため、対策本部ではEMISに集まった情報をベースに、院内の体制を整えるべく各部署に指示出しなどした。
畑センター長は総評で「災害発生後に取るべき行動であるCSCATTTのうち、C(指揮・統制)とC(情報伝達)を学び、うまく機能することができました」と評価。参加者は「対策本部がどのような情報を求めているか理解できた」、「EMISで情報を整理できるのが良い」など手応えを感じていた。