2020年(令和2年)2月3日 月曜日 徳洲新聞 NO.1221 三面
老健シルバーホームいずみ
食事の満足度向上 厨房飛び出しヒアリング
選択食を含め入所者さんの思いをくみ取る小林調理師
介護老人保健施設シルバーホームいずみ(宮城県、入所定員68人)は2017年から入所者さんの食事に対する満足度向上に本格的に着手、成果が如実に現れている。
その秘訣は調理師が入所者さんのもとに赴き、直接ヒアリングすることだ。同施設では調理師がデイルームなどで全入所者さんに食事の嗜好調査を実施。かつては年2回だったが、17年から毎月行うように変更し、さらに日々の食事に対する感想や翌月予定している選択メニューを聞くだけでなく、常食・刻み食までを対象に食べたいものを自由に挙げてもらう“リクエスト制度”を導入した。
リクエストは、ご飯やパンなどの主食、メインのおかずとなる主菜、サラダのような副菜、汁物、デザートに至るまで、とくに制限は設けない。なかには、刺身など衛生面から対応できないケースもあるが、太巻き寿司など、できるだけ希望に近い食事で提供する。
「今までかき揚げ丼、冷やし中華、かつ丼、スパゲティー、シュウマイ、ところてん、田楽味噌、天丼、ウナギ、旬ではない果物など、多様な希望が寄せられましたが、一度提供し、美味しかったものはリピートされることが多く、対応が難しいケースはほとんどありません」と栄養科の小林志穂調理師。
こうした取り組みの結果、食事に対する入所者さんの評価は5段階で平均4・1(17年)、4・3(18年)、4・5(19年)と高まっている。
「当施設では、美味しい食事をつくる一番の近道となり調理師の励みにもなるとの考えから、できるだけ調理師自ら入所者さんの声に耳を傾けることを大切にしています。コスト面もあまり変わらないので、リクエスト制度は継続していきたいです」と嶺岸三奈主任(管理栄養士)。
小林調理師も「入所者さんに“どれだけできるの”と試されているようで、やりがいにつながっています」と笑顔を見せていた。