徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)8月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1197 一面

徳洲会グループ
在宅サービスさらに強化
訪看ST 4カ月で9カ所開設

徳洲会グループの訪問看護ステーション(訪看ST)開設ラッシュが止まらない。昨年10月から5カ月連続、計6カ所の開所に続き、新年度に入っても7月までの4カ月間で9カ所がオープン。従来の「みなし訪問看護」から移行した事業所や、今まで縁のなかった地域に拠点を構える事業所など、さまざまな形で患者さんの在宅生活をサポートしている。開所した3カ所の訪看STを中心に紹介する。

新たなエリアで活動を展開する京田辺訪看STスタッフ(前列左から川本看護師、高畠管理者、浜井看護師)。後列は宇治病院の(左から)森山主任、塩山課長、葛西・副看護部長 新たなエリアで活動を展開する京田辺訪看STスタッフ(前列左から川本看護師、高畠管理者、浜井看護師)。後列は宇治病院の(左から)森山主任、塩山課長、葛西・副看護部長

徳洲会グループは従来から全国各地で訪看STの運営を行ってきたが、昨年10月から訪看STの拡大に着手。2月まで5カ月連続で計6カ所をオープンするなど精力的に取り組んでいる。その理由について、一般社団法人徳洲会の遊佐千鶴・常務理事は「国民の6割が最期まで自宅で暮らし続けることを望み、国も地域包括ケアシステムの構築を進めていますが、まだ十分な効果が得られるまでには至っていません。地域包括ケア時代に、急性期病院をもつ徳洲会としては在宅を含めた医療の展開が欠かせず、そのなかで看護部は何ができるかを考えた時に、ひとつの方法として訪看STの拡大を図ることとしました」と説明する。新年度に入っても7月までの4カ月間で9カ所を開設(表)。

表 4 月以降に開設した訪問看護ステーション 表 4月以降に開設した訪問看護ステーション


そのひとつが京田辺訪看ST(京都府)だ。関連病院の宇治徳洲会病院(同)がバックアップし6月1日に開所した。「当院が位置する京都府南部の在宅サービスを充実する目的で開設しました。宇治病院から高速を使っても車で30分くらいかかる場所で、まさにゼロからのスタートでした」(宇治病院の塩山秀樹・介護保険事業部課長)。

京田辺訪看ST は戸建てが事業所 京田辺訪看STは戸建てが事業所

塩山課長を含め同院の葛西雅・副看護部長、森山健・介護保険部主任のサポートの下、宇治病院の高畠愛看護師が同訪看STの管理者を務め4人体制で事業を開始。6月こそ登録患者数2人、訪問件数3件だったが、7月に入ると登録患者数8人、訪問件数85件と増えた。理由について葛西・副看護部長は「マーケティング活動を行うなか、訪問リハビリテーションを求める声を多く聞いたので、すぐに当院から言語聴覚士(ST)と作業療法士(OT)が週1回サポートする体制をとったことが、良かったと思います」と説明する。

8月に入っても新規の登録患者さんが増加。「開設3カ月で月間100件の訪問件数」という目標に対し、スタッフの浜井佑妃子看護師と川本恵美看護師は「ぜひ達成したいと思います」と意気込む。「STがいるので、将来的には歯科診療所との連携も考えています。看取りもできたらいいですね」と高畠管理者は意気込みを見せる。

移行で連携先が増加

一方、みなし指定から訪看STに移行したのが出雲徳洲会訪看ST(島根県)と訪看STわかば(静岡県)。出雲徳洲会訪看STは5月1日に4人の看護師でスタートした。もともと登録患者数は20人程度だったが、現在は30〜40人で推移している。「スタッフの増員を図り、対応できる件数が増えたこともありますが、ケアマネジャーがいる地域の 居宅介護支援事業所や当院の医師から依頼が増えたことが大きいと思います」と福山順子看護師は分析する。

タブレット端末を駆使し活動する出雲訪看STの福山看護師 タブレット端末を駆使し活動する出雲訪看STの福山看護師

情報共有の仕組みが変わった点も大きい。事業所として独立する際に、タブレット型端末をスタッフ1人につき1台導入。「それぞれ訪問で外出し顔を合わせる機会が少ないなかで、とても便利です」(福山看護師)。

今後、同訪看STは利用者数のさらなる増加を図るとともに、関連病院の出雲徳洲会病院の訪問診療との連携、看取りなども視野に入れていくという。

訪看STわかばは4月1日に関連病院の榛原総合病院内に開所。現在、看護師5人、PT1人、事務職員2人が在籍している。同事業所も移行後に患者数が増え、現在、登録患者数110〜130人、月間訪問件数は500〜700件弱で推移している。「開所後は車で1時間くらい離れた病院や地域の在宅サービスを提供する事業所などからも依頼が来るようになりました」と大井陽江所長。連携先が増えたことで地域のニーズの掘り起こしにつながったケースもあるという。「行政からの相談をきっかけに、慢性疾患の患者さんよりも、そのケアをしている母親のほうが深刻な状態で受診につなげたケースなどがありました」(大井所長)。

スタッフを増員しさらに活動の幅を広げる訪看
ST わかば(後列中央が大井所長) スタッフを増員しさらに活動の幅を広げる訪看STわかば(後列中央が大井所長)

情報共有の方法もひと工夫。静岡県在宅医療・介護連携情報システム「シズケア*かけはし」を活用し、同システムに加入している連携先の医療機関や介護事業所などとシステム上で互いに患者さんの情報を確認したりしている。今後、大井所長は「とくに患者さんのことを真に考えられる、心あるスタッフを育成したい」と、教育に力を入れていく意向だ。遊佐・常務理事も「看護部として、今後は医療機関と訪問の看護師の相互育成を図り、病院・施設以外にも“自宅で療養できるという選択が当たり前にできる社会”を共に創っていける人を育てていきたいと考えています」。

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