2019年(平成31年)2月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1173 一面
永田・湘南藤沢病院部長
十二指腸腫瘍に対する
UESDで論文を発表
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)肝胆膵(すい)消化器病センター・内視鏡内科の永田充部長(兼内視鏡センター副室長)は、十二指腸内を生理食塩水で満たしてESD(内視鏡的粘膜下層.離術)を施行する「十二指腸腫瘍に対するUnderwater ESD(UESD)」をテーマに英語論文を執筆し、解説動画を作成。消化器内視鏡分野で世界的に著名なオンラインジャーナルである『Video GIE(Gastrointestinal Endoscopy)』に掲載された。
消化器内視鏡のトップジャーナル掲載
「十二指腸腫瘍には積極的にUESDを施行」と永田部長
消化管壁は大きく分けると粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜(しょうまく)(腹膜)で構成されており、ESDは、がんの浸潤が粘膜下層までにとどまる早期の消化器がんを、電気メスで内視鏡的に切除する治療法。病変の下に薬剤を注入し、隆起させて切除する。食道、胃、大腸、十二指腸それぞれで保険適用となっている。
通常のESDはCO2(二酸化炭素)で消化管をふくらませるが、UESDは生理食塩水で満たして行うのが特徴。線維化が強い粘膜下層でも筋層との境界が見分けやすくなったり、視野が約1.3倍に拡大されたりするなど視野が良好になることや、浮力が生じるため剝離面を内視鏡先端のフードや水圧を利用して押し上げるのが容易になり、術野を確保しやすいなどのメリットがある。
十二指腸腫瘍は、胃や大腸腫瘍と比べるとまれで、症例が少なく経験を積みにくい。加えて筋層が薄く穿孔(せんこう)リスクが高いことなどから、他の消化器に対するESDよりも難しいと言われている。
UESDでは粘膜下層と筋層の境界がより明瞭に
今回の論文とビデオでは、十二指腸腫瘍に対するESDをより安全に施行するために、UESDの手法が有用であることを実際の内視鏡動画とともに示した。さらに、これまで生理食塩水中での使用が困難とされていたフックナイフ(先端がフック状の電気メス)についても、穿孔リスクの低減に有効であるため生理食塩水中でも使用できる設定を工夫、考案した。
永田部長は、これまでに総計720例のESDを術者として経験。このうち2015年に開始したUESDが約50例を占める。十二指腸腫瘍に対するESDは30例実施し、うち4例がUESD。UESDで穿孔を含め有害事象はない。永田部長は「通常のESDと比べメリットがある場合にUESDを適応としています。大腸腫瘍では症例を選び実施していますが、十二指腸は、もともと筋層が薄いうえに粘膜下層が浮きにくく、線維化が強いことが多いので、積極的にUESDを行っています」と話す。なお、咽頭(いんとう)、食道、胃に関してはメリットを享受しにくいため基本的にUESDを適応としていないという。
今回の『Video GIE』の動画はYouTubeで閲覧できる(
https://www.youtube.com/watch?v=leAd5Gj7etM)。