2019年(平成31年)2月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1170 四面
鎌ケ谷病院 武蔵野病院
JMIP認証を同時取得
外国人患者さん受け入れ体制整備
鎌ケ谷総合病院(千葉県)と武蔵野徳洲会病院(東京都)は外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証を取得した。JMIPは、外国人患者さんが安心して円滑に医療サービスを受けられる体制を整備した医療機関を評価する第三者認証制度。書面調査と訪問調査があり、認証を得るには多言語対応の体制整備、患者さんの宗教・習慣の違いを考慮した対応など条件を満たす必要がある。JMIP認証の取得は徳洲会グループで計12施設に拡大した。
徳洲会グループ12病院に拡大
「メディカルツーリズムの受け入れも強化していきたい」と山本院長
鎌ケ谷病院は2017年7月に国際医療委員会を設置し、JMIP認証の取得に向けたプロジェクトをスタート。藤川幸一・外科部長兼海外事業部長が委員長、院内各部門の責任者ら14人がメンバー。院内標識の多言語化や受け入れ時のマニュアル、書類など整備を推進してきた。
院内サインは3カ国語表記(鎌ケ谷病院)
同委員会の事務局を担当する池本将・総務課主任は「院内サインはデザインから見直しを行い、すべて新しいものに交換しました。患者さんのご案内から診療など幅広く使用できるタブレット端末のビデオ通訳ツール(英語、中国語、韓国語)を導入するなど対応を進めてきました。職員向けに医療用語を交えた英会話教室も開催しています」と説明する。
院内サインは日本語、英語、中国語の3カ国語表記。厚生労働省の補助金制度を活用し、負担を抑えながら実施した。
同院には英語、中国語、韓国語などに対応できるスタッフが在籍。各種ツールなども活用しながら外国人患者さんに対応する。また同院は外国人患者さんの受け入れをサポートする団体の会員になっており、同団体に対し必要に応じて電話による同時通訳サービスや通訳者の派遣を依頼できる。
医療ツーリズム強化も
伊藤部長(右)と早乙女副主任
同院は認証取得に向けた取り組みを開始する以前から、外国人患者さんの受け入れをはじめ、医療の国際化への対応を模索。自身、中学生まで米国で生活を送った山本穰司院長はこう話す。
「医療の世界は言語や国籍が異なっても、医療人として“患者さんのため”という目指すべきところは同じですし、抱える悩みも同じです。外国人患者さんへの診療を通じ、職員たちに『世界に通用する医療を提供している』ことを感じてもらえればと思っています」
同院は5年ほど前から、民間企業と協働し、インドネシアやベトナムなど東南アジアの国々で、がんセンターなど医療施設づくりに協力。その後、企業側から「外国人患者さんの受け入れを行ってみますか」と打診があったものの、その企業の担当者が途中で退職、計画は宙に浮いてしまった。そこで、連携先の企業の事情に左右されずに外国人患者さんを受け入れられる体制を整備していく方針を決定。
山本院長は「鎌ケ谷市は成田空港と東京を結ぶ交通の要衝のひとつです。現在、当院を受診する外国人患者さんのほとんどは日本に在住する方々ですが、今後、アクセスの良さを生かし、外国人患者さんが受診しやすい病院に、さらにブラッシュアップを図り、メディカルツーリズム(医療観光)の受け入れも強化していきたい」と力を込める。
東京五輪など控え充実化
意思疎通のための指差しツールを整備(武蔵野病院)
武蔵野病院は17年11月、JMIP委員会を設立し、認証取得プロジェクトをスタート。委員長は伊藤泰雄・小児外科部長で、各部署責任者ら約20人がメンバー。鎌ケ谷病院と同様に厚労省の補助金を活用。さらに東京都独自の補助金制度も利用し、院内サインなどの多言語化(日本語、英語の2カ国語表記)を進めてきた。また同院は18年7月に国際医療支援室を設置し、1階に外国人患者さん受け付け用のカウンターを設けるなど体制を整備。
外国人患者さんの来院時には日本語、英語、中国語に対応可能な何暉(かき)職員が対応する。必要に応じて電話による同時通訳サービスも利用することができる。
さらに、各部署には外国人患者さんとの意思疎通を円滑にするための指差しツールを整備。「息を止めてください」など検査時によくある患者さんへの伝達事項などを外国語で記したカードを用意しておき、そのカードを指し示すことによって意図を伝える。火災など緊急時用の館内放送も英語版を流せるようにした。
徳洲会グループのJMIP取得病院
| 病院名 |
所在地 |
| 湘南鎌倉総合病院 | 神奈川県 |
| 千葉西総合病院 | 千葉県 |
| 札幌東徳洲会病院 | 北海道 |
| 岸和田徳洲会病院 | 大阪府 |
| 南部徳洲会病院 | 沖縄県 |
| 東京西徳洲会病院 | 東京都 |
| 湘南藤沢徳洲会病院 | 神奈川県 |
| 中部徳洲会病院 | 沖縄県 |
| 吹田徳洲会病院 | 大阪府 |
| 福岡徳洲会病院 | 福岡県 |
| 鎌ケ谷総合病院 | 千葉県 |
| 武蔵野徳洲会病院 | 東京都 |
JMIP委員会事務局を務める早乙女拓実・医事課副主任は「当院は都内に立地していることもあり、外国人患者さんが来院する可能性が高く、さらに今年はラグビーワールドカップ、20年には東京オリンピックを控えています。これまで外国人患者さんの対応で困ったことはありませんが、対応ツールを充実させ、今後に備えるためにJMIP認証を取得しました」と話す。
同院では近隣に在住する外国人をはじめ、留学生や、福生市にある米軍横田基地に勤務する米軍職員の家族などが来院するケースがあるという。また、中国やモンゴルからは人間ドック受診を目的に海外から来院するメディカルツーリズム参加者もいるそうだ。
伊藤部長、早乙女職員は「外国人の方々が困った時に安心して受診できる、かかりつけ病院として、救急を含めシームレス(継ぎ目のない)な医療を提供していけるよう、さらに磨きをかけていきたい」と意気込みを示している。