徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

鈴木 隆夫(すずきたかお)(一般社団法人徳洲会理事長(東京都、大阪府))

直言 生命いのちだけは平等だ~

鈴木 隆夫(すずきたかお)

一般社団法人徳洲会理事長(東京都、大阪府)

2019年(平成31年)2月4日 月曜日 徳洲新聞 NO.1170

超高齢社会のその先“必ず来る未来”
打ち出す手立てを真剣に準備する時期
努力と勇気をもち挑戦し続ける組織を継続

「大晦日に脳梗塞で救急入院し、4日しか経っていないのに退院しろと言われたのです。何とかなりませんか」。徳洲会東京本部にかかってきた患者さんのご家族からの電話に、病院へ確認したところ、「脳梗塞の治療後は一日でも早いリハビリテーションが重要で、リハビリ病院への転院をお勧めしたのですが、お住まいの地域から遠く離れた所にあるため、不安を覚えられたのでしょう」とのことでした。

健康を取り戻し社会復帰するためには、回復のための集中的なリハビリが重要です。温泉やプールを備えたリハビリを専門に行う施設もあります。しかし、徳洲会グループには、リハビリに特化した病院はありません。患者さんは、自分たちの住む地域の病院で、安心してリハビリを受け、これまでの生活に早期に復帰することを望んでいます。

『やすらぎの郷(さと)』という連続テレビドラマがありました。俳優や歌手、脚本家など、昭和期にテレビで活躍した人だけが、秘かに入居する老人ホームを舞台に、そこで繰り広げられる人間模様を映し出していました。

老いはつらいものではなく楽しいと胸張る時を夢見る

広大な海沿いの風光明媚(ふうこうめいび)な敷地に、外界から遮断されるがごとく存在する施設は、テレビ業界で半ば都市伝説のように語られています。食堂やスポーツジム、温泉をひいた大浴場、映写室、医療設備など、充実したさまざまな設備を完備し、元CA(客室乗務員)らのコンシェルジュが行き届いたサービスを提供します。入居者たちは、それぞれ一戸建てタイプのコテージなどで暮らし、夜になるとバーに集い昔語りに花を咲かせる――至れり尽くせりの夢のような生活ができる、まさに「やすらぎの郷」です。でも、そこに徳洲会の病院はありませんでした。

皆さんは人生の終末期をどのように過ごすか、想像したことはありますか。体は元気でも、独居への漠然とした不安におびえる日常のなか、年金と、これまでの貯えで入居できる施設は一体、どれほどあるのでしょうか。徳洲会グループは“生命だけは平等だ”の下、「生命を安心して預けられる病院」、「健康と生活を守る病院」を理念に掲げています。しかし、地域の方たちや職員の皆さんが、一生懸命に働いて迎えた老後に、安心して生活できる介護施設や老人ホームは、全国的に絶対数が不足しています。

46年前、徳洲会は24時間365日、救急医療を提供するという、それまでの常識を覆す無謀とも言える挑戦に打って出ました。それが今日の徳洲会を支える大きな礎になっています。

そして、次の20年、日本が世界に先駆けて迎えた超高齢社会のその先、“必ず来る未来”に対し、どのような手立てを打ち出すことができるか、真剣に準備を整える時が来ました。

日本の平均在院日数は、欧米、アジア諸国と比較し、とても長い。在院日数を短縮することは、急性期医療を必要とする新しい患者さんのためだけでなく、入院している患者さんが、次のリハビリや在宅医療に向かうステップに進み、地域社会に早期に復帰するためにも欠かせません。それには今ある病院の近く、あるいは同じ地域に、多数のリハビリ専門病院や、さらに高齢の方が安心して暮らせる施設が必要です。まさに“徳洲会やすらぎの郷”の建設です。

そこで生活を送りながら、仕事や地域のボランティアに出かけるというのも、楽しいことではないかと思うのです。「老い」は決して悲しく、つらいものではなく、楽しいものだと胸を張る時を夢見ます。

使命・目標・戦略・行動が正しいか結果は世間が判断

社会構造だけでなく、疾病構造も大きく変化しています。2人に1人が必ずがんになり、そのほとんどが高齢の方たちです。決して裕福でなくても、そのような方たちが安心して終末期を過ごせる「やすらぎの郷」が必要になるのです。

その一方で、非営利の民間医療グループという徳洲会のなかで、これまで築き上げてきたものの、機能しなくなったり、意義を失ったり、役に立たなくなったりしたモノを的確に判断し、そのようなモノを捨てられる組織にしなければなりません。使命と目標、ニーズに向かう戦略と行動が正しいか、結果は世間が判断します。

今後も血のにじむような努力と何者にも負けない勇気をもって、未来に挑戦し続ける組織でありたい。皆で頑張りましょう。

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