2018年(平成30年)10月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1153 三面
神戸徳洲会病院
認知症対応を強化
幅広い職種に研修実施
認知症を学ぼうと多職種が研修に出席
神戸徳洲会病院は認知症対応を強化している。患者さんの増加をふまえ、中村美津・看護部長が昨年から認知症ケアの質を高めようと院内で研修を開催。多い時には50人が参加するなど好評だ。対象を「認知症患者さんにかかわる職種」とし、各病棟で認知症に対応する看護師はもちろん、リハビリテーションセラピスト、救急救命士、看護助手、さらには受付業務を担う医事課職員、家族が認知症を患っている職員など、病院を挙げて取り組んでいる。
講師は関西看護医療大学看護学部の下舞紀美代教授。研修は複数回に分け、認知症の基礎知識から症状別の対応、困難事例を通じアセスメント、ケア計画などまで体系的に学べる内容。午後6時から職種を問わず自由に参加できる。
取材当日はプログラムの最終講義。脳の部位と各部位に障害が起こった時の症状を解説した後、困難事例を検討し、患者さんの行動などから適切なアセスメント(評価)、ケアの計画、対応方法を話し合った。
このなかで下舞教授は病態や患者さんが服用している薬について正しく理解する重要性を強調。薬であれば、作用する体の部位や効能、副作用などを知ることが、より意義のある観察や計画などにつながるとした。
具体的なケアのポイントも提示し、排泄(はいせつ)セルフケアでは、患者さんの身体機能ではなく、行動に着目する大切さを指摘。1日の排泄回数のみならず、トイレまでの移動や衣服の着脱、着座など、排泄にともなう各動作に注目することが重要とした。対応に悩んだ時の解決方法なども話し合った。
中村・看護部長は「BPSD(認知症の周辺症状)の減少などが見られます」と研修成果が現れ始めている点をアピール。今後も継続する意向を明かし、「成果を通じて認知症ケアの大切さに気付き、将来、認知症看護認定看護師の資格取得者が生まれればいいです」と期待を寄せていた。