2018年(平成30年)10月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1153 一・二面
徳洲会で初
指定研修機関に認定
南部徳洲会病院
看護師の特定行為
南部徳洲会病院(沖縄県)は8月30日、厚生労働省から看護師の特定行為研修を行う指定研修機関の認定を受けた。徳洲会で初めて。同日に認定されたのは全国18機関で、これまでに合計87機関が認定。
「離島病院で活躍できる看護師も育成したい」と中村・看護師長
厚労省は2015年10月、「特定行為に係る看護師の研修制度」を創設した。超高齢社会に向け在宅医療などを推進するためには、医師(歯科医師)の判断を待たずに診療の補助を行える看護師を確保する必要がある。同研修制度は、その行為を特定し、手順書に沿って同行為を実施できる看護師を計画的に養成していくのが目的。
特定行為には21区分あり、このうち南部病院で研修対象になるのが「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」と「ろう孔管理関連」の2区分。具体的に前者は、気管カニューレ(管)の状態や身体所見、検査結果などが医師から指示された病状の範囲にあることを確認したうえで、手順書に基づき留置されている気管カニューレの交換を行うこと、後者も同様に手順書に基づき胃ろうカテーテルや膀胱(ぼうこう)ろうカテーテルなどの交換を行うことを指す。
同院で指定研修機関の認定取得に尽力した中村啓介・看護師長(集中ケア認定看護師)は、「当院には高齢の患者さんが多いので、今回の特定行為区分を選択しました。看護師が医師の代わりに処置できれば、外来の待ち時間短縮につながります」と意図を説明する。
初年度は徳洲会沖縄・離島ブロックから「呼吸器関連」で3人、「ろう孔管理関連」で2人を募集する。研修は10月1日から1年間かけ実施。研修項目には両区分の共通科目(7科目)と区分別科目があり、それぞれeラーニングによる講義を受けた後、演習(モデルを使った実践を想定した訓練)、実習(ベッドサイドで行う訓練)を経て実技試験(OSCE)を行い、すべての科目で合格したら研修修了となる。
研修の運営は島袋盛人・副看護部長が委員長を務める研修委員会で実施。定期的に会合を開き課題の洗い出しや解決方法の検討などを行う。さらに「院内や地域の方々への周知徹底も大切な役割です」と中村師長は強調。院内向けにはパンフレットやポスターを作成したり医局会で説明したりしているが、「当院の医師は研修に協力的です。今後、特定行為の手順書の作成や、研修を終えた看護師が院内でどのような立ち位置で業務にあたるかなど検討していきます」と話す。
今年度は同院のみで必要な症例数を確保するため募集人数を5人としたが、今後は中部徳洲会病院(沖縄県)や離島病院にも協力病院として参加してもらい、募集人数を増やしていくことを展望。
中村師長は「医行為をすることだけが目的ではなく、専門的な知識と技術を習得し、看護ケアの実践に生かすことが重要です。在宅医療を含め、なるべく多くの看護師が特定行為を実施できるようにしたいです。また、医師が少ない離島・へき地病院で活躍できる看護師を育成するのも当院の役割だと考えています」と意欲的だ。