徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)10月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1153 四面

井齋・日高徳洲会病院院長
漢方エビデンスづくり推進

日高徳洲会病院(旧・静仁会静内病院、北海道)の井齋偉矢院長が理事長を務めるサイエンス漢方処方研究会が8月18日、都内で第3回サマーシンポジウムを開催した。テーマは「システムバイオロジーと漢方」。参加者はシステムバイオロジー(システム生物学)の考え方などを学んだ。

サイエンス漢方処方研究会 第3回サマーシンポジウム

「システムバイオロジーが重要」と井齋院長 「システムバイオロジーが重要」と井齋院長

研究会は漢方理論を現代医学に取り込み、漢方がもつ効果を最大限引き出し医療の質向上に貢献することを目的に、井齋院長が設立。

開会の挨拶に立った井齋院長は、まず構成生薬が芍薬(しゃくやく)と甘草だけの芍薬甘草湯ですら3,000種類もの化合物の集合体という最近の研究結果をふまえ、「これだけの化合物が身体の中に一斉に入って、こむら返りを緩和させるのはなぜか。その答えを得るには、特定の化合物の作用を見ていく薬理学的な手法では解明できません」と指摘するとともに、多くの病気は最終的に患者さん自身が、変調を来したシステムを修復し、正常に戻すことで治ると定義。

「薬の作用ではなく、それを受けた身体のほうに焦点を当て、システム修復のプロセスに漢方薬がどう関与するかという考え方でないと、本質は見えてこない」と、漢方薬を読み解くうえでシステムバイオロジーの重要性を強調した。

漢方メーカーのツムラの髙崎隆次・常務執行役員は、システムバイオロジーの研究に至った背景や経緯について説明。「多くの疾患は複数の遺伝子がかかわり、ネットワークで動いていることが明らかになってきました。つまり、人を全体として見ていくという漢方の考え方へパラダイムシフト(劇的な変化)が起きています。ここにサイエンスの観点を入れていきたい」とし、腸内細菌やメタボローム(低分子化学物質の総体)などのマルチオミクス(網羅的解析)研究について紹介した。またシステムバイオロジー的な手法で漢方の作用機序解明やエビデンス(科学的根拠)構築に尽力していく構えを見せた。

医師や薬剤師らが熱心に聴講 医師や薬剤師らが熱心に聴講

同社からは麻黄湯(まおうとう)の疑似感染モデルに対する作用の研究や、慢性便秘症を対象に加味帰脾湯(かみきひとう)を12週間投与し奏功した臨床研究の報告もあった。

同研究会副理事長で福岡大学医学部総合診療部の鍋島茂樹教授は「麻黄湯と感染症~システムバイオロジー的解析~」をテーマに講演。システムバイオロジーについて「生物をシステムとして見ることから、最終目標は数式で全体を理解することにあります。ただし、私はツールと捉えている」と見解を示すとともに、「生薬も人間もいろいろな成分の集合体であり、数ある成分同士が、どうかかわっていくかが漢方の難しいところ。それを最終的にコンピュータ上で再現することがシステムバイオロジーでしょう」と定義。今後、ウイルス感染症分野への漢方の応用に期待を寄せた。

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