徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)6月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1086 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演” ⑤
ジェネリックのABC

今回のテーマはジェネリック医薬品(後発医薬品)です。同医薬品は特許が切れた先発医薬品(新薬)と同じ有効成分、同じ用法用量の医薬品を指し、厚生労働省は「先発薬と同等の有効性や安全性を有する」と説明しています。先発薬と比べ一般的に薬価が安いことがメリットです。茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)の大塚圭一・副薬局長が解説します。

大塚圭一・副薬局長(薬剤師)茅ヶ崎徳洲会病院 大塚圭一・副薬局長(薬剤師)茅ヶ崎徳洲会病院

はじめに、薬(新薬)ができるまでの流れを確認したいと思います。まず、既存の化学物質や自然界に存在する物質のなかから薬の候補物質を探索し、試験管などを用いた実験で効能を調べます。

次に動物に投与し有効性や安全性を確認します。その後、人に投与して同様に有効性・安全性を検討します。人を対象とした試験のことを治験と呼び、第Ⅰ相から第Ⅲ相試験まで、大きく3段階に分かれます。有効性と安全性が確認されれば、国(厚生労働省)の審査・承認を経て新薬が誕生します。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許期間(20~25年)終了後に、特許情報を利用して製造・販売される薬のことです。先発医薬品と同一の有効成分が同一量含有され、同一の経路から投与されて、同一の効能・効果と用法用量を有する医薬品です。諸外国では後発医薬品は一般名(ジェネリック・ネーム)で処方されることが多いことから、ジェネリック医薬品と呼ばれています。

有効成分は先発薬と同一ですが、添加物(安定剤、保存剤、緩衝剤、着色剤など)の成分や配合量は同一でなくてもよいことになっています。そのため、有効性や安全性に差がないかどうか確認するために、承認審査では生物学的同等性試験を行います。これは、先発薬とジェネリック医薬品との間に、血中濃度の推移に統計学的な差がないことを確認するための試験です。

ごく一部の薬を除き、先発薬と比べてジェネリック医薬品は薬自体の価格が安いのが特徴です。すでに有効性や安全性が確認された成分を使用するため、開発期間を短縮したり、開発費を抑えたりできるためです。

このように薬自体の価格(薬価)は低く抑えられていますが、先発薬からジェネリック医薬品に切り替えたとしても、トータルの医療費は必ずしも安くならない場合があります。たとえば病院で、ある先発薬を処方されていて、ジェネリック医薬品に切り替えたいと希望しても、その病院で取り扱いがない場合は、該当するジェネリック医薬品を院外の調剤薬局で受け取ることになります。

院内と院外とでは、薬価は同じでも、それ以外の技術料、指導料などが違うので、院外で受け取るには、より多くの医療費がかかることになります。このようなケースでは、先発薬とジェネリック医薬品との薬価差が、そのまま負担減にならないということになります。

ジェネリック医薬品のなかには、先発薬と適応症が異なるものがあったり、規格・品ぞろえに不安な面が残っていたりするものがあるなど課題もあります。日本ではジェネリック医薬品のシェアは数量ベースで6割弱ですが、欧米では7割から9割以上の国もあり、厚生労働省は8割以上を目標としています。ジェネリック医薬品の使用を推進することによって医療費の削減が期待されています。

ジェネリック医薬品を希望する患者さんは、まずは主治医や薬剤師にご相談ください。

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