徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

産婦人科の病気:正常妊娠

硬膜外、硬膜内髄外、髄内に腫瘍が発生

月経周期が28日間の場合、最終月経開始日から約14日目に排卵が起きていると仮定されます。市販の妊娠検査薬で検出しているのは、尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下、hCG)というホルモンです。このhCGは着床した受精卵の絨毛組織から分泌し、母体血中に移行して尿中に排出されるのは妊娠4週目となります(つまり最終月経から4週間目)。ただし、検査薬の感度により検出可能な尿中hCGの濃度は異なります。また、妊娠反応は、単にhCGが尿中に存在していることを示すため、正常妊娠以外でも子宮外妊娠や絨毛性疾患、hCG産生腫瘍などでも陽性を示します。

病院での正常妊娠の確認は、経膣超音波検査にて子宮内に胎嚢と胎芽、胎芽に心拍を認めることで確定します。心拍は妊娠5~6週で確認することが可能です。

分娩予定日は、最終月経開始日を妊娠の起点と考えた場合の予想週数を参考にしますが、臨床的には、妊娠8~11週(妊娠3カ月目)相当での経膣超音波検査で胎児の頭殿長(頭からお尻までの長さ)から妊娠週数と分娩予定日を最終決定しています。

妊婦健診で母体の生理が正常かどうかを把握

妊婦健診の目的は正常な生理過程をたどっているかどうか、異常妊娠の早期発見、分娩に向けての精神的な準備等が含まれています。基本的な健診項目は、体重、血圧、尿中タンパク・糖、浮腫の有無、子宮底長、腹囲です。母子手帳を取得した直後に行う妊娠初期検査は、母体の基本的な健康状態の把握のためであり、血液検査にて感染症や貧血の有無、子宮がん検診やクラミジア感染の有無、血糖測定が行われます。妊娠中後期は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病の早期検出などの検査を行います。筆者の病院では通常の超音波検査の他、妊娠20週、妊娠30週ころに胎児スクリーニング超音波検査を施行し、胎児の構造異常や当院での分娩管理が可能かどうかの確認を行っています。

胎児の生理は心拍モニタリング等で確認

胎児は胎盤を通じて、母体からエネルギー、栄養素や酸素等を補給し、次第に成長していきます。正常な過程かどうかは、妊婦健診での経膣・経腹超音波検査や胎児心拍モニタリング等を使用して確認していくことになります。

分娩の前後での最も劇的な変化は、肺呼吸の始まりにあるといえます。肺は妊娠34週ころに機能的に成熟します。しかし、児によっては妊娠37週以降の正期産の時期であっても出生後の呼吸管理を必要とする場合があります。また、胎児期の赤血球のヘモグロビンから、新生児期に大人のヘモグロビンに移行しますが、その胎児期ヘモグロビンの破壊される過程でビリルビンが放出され、新生児黄疸の一因となります。

薬物治療の大きな影響は催奇形性と胎児毒性の2つ

妊娠5~11週ころは急速に主要な臓器が発生する器官形成期と呼ばれる時期であり、催奇形因子(ウイルス感染、薬剤、放射線、高血糖等)にさらされると先天異常を引き起こしやすくなるので注意が必要です。なかでも、妊娠中に薬物治療を行った際の胎児への影響には、大きく分けて催奇形性(妊娠4~15週)と胎児毒性(妊娠16週以降)があります。催奇形性とは臓器の形や配置などの異常を意味し、胎児毒性とはそれぞれの臓器の機能の異常を意味します。

一方、妊娠3週(受精から14日間)までは胎児に影響の及ぼす可能性のある薬を使用したことにより有害な影響があった場合には、受精卵は着床しないか流産となりますが、流産しなかった場合も、奇形として影響が残ることはないといわれています。つまり、妊娠検査薬で陽性になる時期までの薬剤の投与については、その後の妊娠継続が確認されている場合、薬剤の胎児への影響を強く心配する必要はありません。

妊娠4~7週目は催奇形性に対して特に注意

妊娠4~7週までは重要臓器が発生する絶対過敏期であり、催奇形性に対して最も過敏な時期です。妊娠8~15週ころは薬に対する過敏性は低下する時期ですが、外性器や口・顎部位の成長が起こる時期のため、まだ内服する薬の内容には注意が必要です。

妊娠16週から分娩までの時期は催奇形性の心配はなくなりますが、胎児毒性が問題になります。

催奇形性が明らかな薬剤で代表的なのは、サリドマイド、男性ホルモン、ワーファリン、ビタミンA誘導体、抗てんかん薬、メトトレキサート、等が挙げられ、内容により出現する奇形は異なります。

胎児毒性のリスクのある主な薬や物質は、アルコール、一部の鎮痛薬(NSAIDS→胎児の血管系の異常)、一部の降圧薬、抗甲状腺薬、大量のヨード、精神神経系薬剤(→出生時の呼吸障害等)が挙げられます。内服ではありませんが、喫煙も子宮内胎児発育を遅らせる原因になり胎児毒性があるといえます。

妊娠および授乳中の薬の内服は産婦人科医に要確認

妊娠中にかかわらず、薬の内服が必要であるかどうかと、内服による危険性を比較したうえで、実際に内服するかどうかの決定が必要になります。
内服可能かどうかの判断は、産婦人科医師に確認するようにしてください。また、妊娠中の薬の使用に関する主な相談機関には次のような場所があります。

授乳中の薬に関しても、産婦人科医に相談いただくか、「妊娠と薬情報センター」のホームページで確認するようにしてください。

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