病気の治療
medical treatment
medical treatment
大腸の可逆性の循環障害により、粘膜に区域性の変性や壊死、潰瘍をきたす疾患です。発症には、便秘による腸管内圧の上昇や動脈硬化に伴う循環障害などが関与していると推測されます。症状から診断できる数少ない疾患の一つです。
主訴は、血便で受診されることが多いです。問診では、便秘傾向の方(稀に、日ごろ便秘ではない人でも発症する)が突然の激しい腹痛の後(脂汗をかくほどつらかったということ多い)、硬い便が出て、その後下痢便となり、徐々に血便へと変化します。腹痛、下痢、血便という順序が問診上は重要です。
好発年齢は、高齢者が多いといわれていますが、若年者の発症も少なくありません。発熱はほとんどなく、左下腹部に軽い圧痛を認めることが多いです。
初期の診断には、腹部エコーが有効で、腹部エコーにより、S状結腸の壁肥厚を認めることが多いです。下部消化管内視鏡検査では、急性期には結腸紐に沿った縦走潰瘍やびらんを認め(結腸紐に一致して、3条の帯状の潰瘍が典型的です)、主病変の周囲に発赤や潰瘍の間の健常粘膜に浮腫がみられます。病変は区域性で健常部との境界は明瞭です。
虚血性腸炎の方は、病態から便が通りにくいだけあって、下部消化管内視鏡の際に、S状結腸がやや長く、屈曲が強く、挿入が難しいケースが多い傾向にあります。癒着や大腸が長いだけのことも多いですが、大きなポリープや大腸がんが隠れていることも多いため、1度は下部消化管内視鏡の検査を行う必要があります。
下部消化管内視鏡の普及により、軽症で診断されることも多くなっています。病状経過から、一過性と狭窄型、壊疽型に分類されます。一過性が大半を占めて、壊疽型は稀です。
治療は、一過性型は対症療法のみで治癒しますが、壊疽型および腸閉塞症状を伴う狭窄型は 外科手術の適応になります。再発を予防するには、便通習慣の改善に努めることが大切です。