徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

消化器内科の病気:胃・十二指腸潰瘍

粘膜の欠損で出血や穿孔をきたす

胃・十二指腸の粘膜の欠損が起こる病気で、胃潰瘍に比べて十二指腸潰瘍は若年層(20~40歳)に多く発症しやすい傾向にあります。特に十二指腸の壁は胃壁に比べて薄いので深く進行しやすく、血管が切れて出血したり穿孔(穴があく)を起こしやすくなります。潰瘍はまわりの組織との境界がはっきりしていて、表面の粘膜を越えて深く進行します。
症状としては、上腹部痛が最も多く、潰瘍部分から出血すると吐血や黒色便がみられます。十二指腸潰瘍では特に夜間の空腹時に腹痛が出やすく、食物を食べると症状が緩和します。

胃酸による粘膜の障害で発症

若年期のヘリコバクター・ピロリ菌感染に加えて高塩分食、喫煙、鎮痛剤(アスピリン系)やステロイド内服が主な原因です。上記の原因により粘膜での防御のはたらきと胃酸による攻撃とのバランスが崩れて、胃酸による粘膜の障害が強くなることで発症します。特に胃・十二指腸潰瘍でのヘリコバクター・ピロリ菌の感染率は90%以上ともいわれています。さらにストレスや遺伝的要因が関連して発症するといわれています。

主に内視鏡で潰瘍部分の状況をチェック


図1 潰瘍の縮小期
胃・十二指腸潰瘍は、主に内視鏡検査で診断されます。活動期には、潰瘍の部分に出血や腫れが、治癒期には潰瘍が浅くなり縮小したり消失した様子がそれぞれ観察されます(図1)。

出血があれば止血術、なければ薬物療法

出血を起こす血管(図2)や活動性出血(図3)が認められる場合は内視鏡的止血術、出血がない場合は薬物療法での治療となります。


図2 潰瘍内の出血を起こしうる血管

図3 潰瘍内血管からの活動性出血


図4 内視鏡的止血後
前者では、電気メスを用いて出血の原因となる血管を内視鏡で確認しながら焼いて止血します(図4)。
後者の出血が認められない場合は、胃酸分泌を抑制する薬の内服で治療します。胃潰瘍は8週間、十二指腸潰瘍は6週間の治療で80%以上が治ります。ただし、内視鏡的止血ができない場合や潰瘍が深すぎて穴があいている場合は外科手術となることがあります。

再発予防にはピロリ菌除菌療法がお勧め

発症には主にヘリコバクター・ピロリ菌の感染が関係するとされています。胃・十二指腸潰瘍の診断がついてヘリコバクター・ピロリ菌の検査が陽性であれば、再発予防目的でピロリの除菌療法が推奨されます。除菌療法は胃酸分泌を抑制する薬と2種類の抗生物質を併用した内服療法になります。喫煙は独立した発症因子とされており、除菌しても喫煙を続ければ再発の可能性はあります。鎮痛剤やステロイドの内服が必要な場合は、胃酸分泌抑制薬の併用が勧められます。

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