徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)11月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1262 四面

南部病院
褥瘡集中対策し発生大幅減
スキルアップや統一したケアを実践

南部徳洲会病院(沖縄県)は、入院患者さんの褥瘡(じょくそう)発生低減のための取り組みに力を入れている。「重症度、医療・看護必要度」が高く、同院全体の平均より褥瘡発生率が高かった循環器科など混合病棟では、集中的に対策を実施。スタッフのスキルアップやカンファレンス(検討会)の実施など組織的に取り組みを展開した結果、褥瘡の発生率が大幅に低減した。褥瘡の発生は患者さんの苦痛増大やQOL(生活の質)の低下につながるため、対策が欠かせない。同病棟では取り組みを習慣化して実施しており、今後も看護の質向上に努めていく。

カンファレンスで原因究明

スタッフステーションで勉強会を定期開催スタッフステーションで勉強会を定期開催
サージカルテープの刺激の少ないはがし方など習得サージカルテープの刺激の少ないはがし方など習得

「重症度、医療・看護必要度」は、入院患者さんに対するさまざまな処置・管理、患者さんの状況、実施した手術などを点数化し、一定の基準に達した患者さんの入院割合をもとに算出する。

たとえば創傷処置の有無、呼吸ケアの有無、点滴ライン(同時に3本以上)の管理、心電図モニターの管理、シリンジポンプ(一定速度で薬剤などを投与する機器)の管理、輸血や血液製剤の管理、専門的な治療・処置実施(抗がん剤や医療用麻薬の使用、放射線治療など)の有無、患者さんのADL(日常生活動作)、開頭手術、開胸手術、開腹手術、内視鏡手術、全身麻酔・脊椎(せきつい)麻酔の手術など実施の有無といった項目だ。

南部病院の循環器内科など混合病棟では、肺がん患者さんの入院受け入れも多いことから、この「重症度、医療・看護必要度」が高く、一定の基準に達した患者さんの割合が40%を超えている。

同院は高度な放射線治療装置であるトモセラピーを有することから、県内各地や離島からも多くのがん患者さんが受診し、治療を受け入院している。同病棟は42床あり、HCU(高度治療室)4床が隣接する。褥瘡ハイリスクの患者さんは、多い時で病棟の半数近くを占める。

40%超という同病棟の「重症度、医療・介護必要度」は、慎重な観察や手厚い看護を必要とする患者さんが多く入院していることを意味し、その分、スタッフにかかる負担は大きい。そうしたなか、すぐさま生命に危機を及ぼすことのない褥瘡に関しては、対策が習慣化されておらず、スタッフの褥瘡対策の知識や技術が十分でないことが課題だった。

「入院の原因疾患をしっかりと治していただくことに加え、QOLの観点からも、より良いケアを提供するために、喫緊の課題として褥瘡対策の取り組みを開始しました」(德山みゆき看護師長)

具体的には①スタッフのスキルアップ、②組織的な対策の実施、③褥瘡が発生した場合の原因究明・対策実施に関するカンファレンス実施――の三本柱。

スタッフ間で処置方法を共有しケアを統一スタッフ間で処置方法を共有しケアを統一
ベッドサイドに注意事項を掲示ベッドサイドに注意事項を掲示

まず、病棟内に知識・技術を広めるための教育者を育成。

「徳洲会グループ看護部門が設けている制度『ベストプラクティス研修』を利用し、3人の看護師が中部徳洲会病院(沖縄県)で褥瘡対策の研修に参加しました。この看護師3人が中心となり、病棟内で勉強会やペーパーテストを月数回実施、おむつのあて方やサージカルテープ(ガーゼなどを患部に固定するテープ)の貼り方・はがし方、保湿、褥瘡予防のためのポジショニング(体位)など幅広く学習。スタッフステーションで多忙な業務のなかでも参加できるよう1回10分程度と短時間で実施しています」と德山師長は説明する。学習効果が表れ褥瘡ハイリスク患者さんの抽出や適切な対応につながった。

また褥瘡予防に効果的なポジショニングの見本を収めた写真や、患者さんごとの注意喚起を示したカードをベッドサイドに表示するなど、スタッフ間で統一したケアを行える環境を整備。さらに毎日2時間ごとにスタッフ同士で声かけを行い、体位変換・除圧を実施。毎日の病衣交換の際、全身の皮膚観察を行い、異常の早期発見にも注力。それでも褥瘡が発生した場合、原因究明とさらなる対策を講じるため、カンファレンスを開くようにした。

こうした取り組みを行ったところ、2017年に3・35%あった新規褥瘡発生率は、翌年には0・75%にまで大幅に低減。その後も対策を継続しており、低い発生率を維持している。德山師長は「これからも褥瘡発生率のさらなる低減や皮膚トラブルの早期発見と適切な処置を実践しながら、看護ケア全般の質向上に取り組んでいきたい」と抱負を語る。

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