2020年(令和2年)11月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1261 三面
新型コロナ 最新情報の共有図る
徳洲会感染管理部会 全国会議を開催
徳洲会グループ感染管理部会は10月31日、全国会議を開いた。部会の執行部や一部関係者が湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)に参集、各施設の感染管理担当者らはオンラインで参加した。主に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をテーマに、外部講師による講演やグループ施設の取り組みから知見を広げた。
沖縄県立中部病院 髙山副部長が講演
髙山副部長は社会的支援につなげる必要性を強調
会は2部制で行い、同部会長の佐藤守彦・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)感染対策室部長、同部会担当理事の福島安義・一般社団法人徳洲会副理事長の挨拶でスタート。第1部は沖縄県立中部病院の髙山義浩・感染症内科・地域ケア科副部長を講師に招き、「新型コロナウイルス(COVID─19)について」と題する講演を行った。髙山副部長は、2月に横浜港に停泊していた大型クルーズ船のCOVID─19対応で、厚生労働省の技術参与として搬送先の調整役などを担った。現在は沖縄県の対策について中心的役割を果たすなど、COVID─19対応の最前線で活躍する専門家のひとり。
はじめに、COVID─19の現状について説明。国内や沖縄県内のデータ、自院の取り組みなどを示しながら、小児の感染しやすさは成人と変わらないことや、日本では小児から成人には感染しにくいこと、感染伝播モデルがインフルエンザと異なる点などを提示。課題も挙げ、家庭内感染が防ぎにくい点から、高齢者や基礎疾患をもつ人はもちろん、そうした人との接点を家庭でもつ人も、いかに守るかが重要と強調した。高齢者施設でのクラスター対策ではデイサービス利用者さんの感染防止が大切と訴えた。
沖縄県では、現場と学者など専門家が一緒に議論する場を設けたり、高齢者施設でできる対策研修会をオンラインで実施したりしていることを紹介。「情報提供のあり方も重要」と、定期的にメディアとの勉強会を開催していることも披露した。
こうしたことをふまえ、新型コロナに対する基本的な考え方として、①感染リスクの高い集団の検査体制を強化する、②発生初期のクラスター(感染者集団)対策で流行を捉える、③地域流行に至ってからは活動自粛で抑え込む、④ハイリスク者は早期に診断し医療で見守る――を示した。
最後に、患者さんのなかには身寄りのない高齢者や幼い子を育てなければならないシングルマザーなどもいることを挙げ、「単なる疾患対策にとどめず、どういう支援が必要かを分析し、社会的支援につなげていくまで発展させることが大事だと思います」と締めくくった。会場には神奈川県下の徳洲会介護施設の幹部も参加し、聴講した。
第2部では、部会活動の報告を行い、2020年度手指衛生順守調査結果と感染管理支援システムの導入を説明。最後に、「院内クラスターを発生させないために」をテーマに、オンラインでグループディスカッションを実施した。参加者からは「今後の感染対策に生かせる講義だった」、「グループ内での情報交換ができ、大変参考になった」などの声が聞かれ、第1部の講演をはじめ各プログラムとも好評だった。