徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)11月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1261 四面

教えてドクター 進行早く放置で切断も

中西 新 生駒市立病院形成外科部長(日本形成外科学会専門医、同皮膚腫瘍外科分野指導医、日本創傷外科学会専門医) 中西 新
生駒市立病院形成外科部長(日本形成外科学会専門医、
同皮膚腫瘍外科分野指導医、日本創傷外科学会専門医)

「糖尿病の夫の足指に傷ができ治りません」(61歳・女性)

お答えします。

A皮下組織まで壊疽(えそ)(死滅)が進んだ糖尿病性壊疽の可能性があります。糖尿病は進行すると①血流障害により、自然治癒力が低下しけがが治りにくくなり、②免疫力低下により、小さな傷口からも細菌感染しやすくなり、③神経障害により、痛みが感じられず悪化に気付きにくくなります。とくに足部の傷は気付きにくく、知らぬ間に悪化しがち。水虫や魚の目など健常人なら問題ない小さな傷も、あっという間に重症化してしまうのが特徴です。糖尿病のご家族の靴下が、傷口からの滲出(しんしゅつ)液で濡れていたら要注意。

壊疽は痛みがないため、深刻さが見えにくいのですが、じつは皮膚内部でかなり感染が進行していることが多く、「少し足が腫れているな」という程度で歩いて受診された方が、足を切断せざるを得ないケースも珍しくありません。

大切断(下腿(かたい)切断や大腿(だいたい)切断)に至るとADL(日常生活動作)が急速に悪化し、生命予後にも影響してきますので、早期発見、治療が大切です。糖尿病の方は足部のケアを専門とするフットケア外来の受診をお勧めします。

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