徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

佐藤 守彦(さとうもりひこ) 徳洲会感染管理部会部会長 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)感染対策室部長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

佐藤 守彦(さとうもりひこ)

徳洲会感染管理部会部会長 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)感染対策室部長

2020年(令和2年)11月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1261

新型コロナ陽性者が世界各国で急増中!
最新の知見を吸収し病魔に立ち向かおう
徳洲会感染管理部会がデュアル方式で全国会議

海外で新型コロナウイルス陽性患者さんが急増しています。

米国でトランプ大統領や側近が感染し、世界の人々に衝撃を与えたのは記憶に新しいところですが、米国では、その後も感染の拡大が続き、最新データでは1日当たり、約10万人の新規陽性者が発生しています。欧州では1日当たりの新規陽性者がフランスで約5万人、イタリアで約3万人、英国で約2万6000人、スペインで約2万5000人、ロシアで約1万8000人と本年3月から4月にかけての第1波よりも遥かに多く発生しています。またベルギーで約2万人、オランダで約1万人、チェコで約1万5000人と、第1波では比較的よくコントロールした国々でも非常に多くの1日当たり新規陽性者が発生しています。第1波では対策が賞賛されたドイツでも今回は1日当たり約2万人の新規陽性者が発生し、例年、世界中から多くの観光客でにぎわいを見せていたオクトーバーフェストなどが中止となりました。欧州では再度、国家非常事態宣言を出したり、飲食店を閉鎖したり、夜間の外出を禁止したりと、都市封鎖(ロックダウン)に向け動き出しました。

これから本格的な冬のシーズンを迎えるにあたり、海外からのウイルス流入には十分な対策を国レベルで行う必要性があることをひしひしと感じます。

昨年末、中国湖北省武漢市を中心に、新型コロナウイルス感染症が中国国内で発生し、旧正月(春節)での人の大移動を機に中国国外へ拡散の様相を呈していました。1月31日、一般社団法人徳洲会東京本部で感染管理部会執行部メンバーが徳洲会グループとしての対策を話し合いました。2月に入り、横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で大勢の新型コロナ陽性者が発生。2月14日、初めて湘南鎌倉総合病院の陰圧個室に陽性の乗客が入院しました。個人防護具に身を包んだ私たち感染対策チームが、病院地下駐車場で民間救急車から降り立った外国人乗客を出迎えましたが、まだ正体がよくわからない未知の感染症ということもあり、内心ものすごい恐怖を感じました。その後もクルーズ船での感染は拡大の一途をたどり、厚生労働省からの要請もあり、葉山ハートセンター(神奈川県)が10人の外国人乗組員陽性者を受け入れました。事前に、同センターの田中江里院長や志願した看護スタッフらと、湘南鎌倉病院感染対策チームが綿密な打ち合わせをして無事に任務を果たすことができました。

全国各地の徳洲会病院 新型コロナ診療に貢献

その後はウイルスの全国的な拡散に対応して、全国のグループ病院で多くの陽性患者さんを受け入れ、多くの命を救うことができました。対応した医師、看護師、コメディカルスタッフのなかには、年老いた両親の面倒をみていたり、小さなお子さんたちを抱えていたりした人も多かったと思います。現実から逃避したいという思いも頭をよぎったことでしょう。それでも志願して集まった同志を奮い立たせたのは、未曾有の国難に立ち向かう使命感からではないでしょうか。私はすべての同志を大変誇りに思います。現在、湘南鎌倉病院は神奈川県の臨時医療施設180床を運営、県内全域から受け入れを行っています。肺炎患者さんにはファビピラビル、デキサメタゾン、レムデシビルといった治療薬を用いるなど、さまざまな分野で多くのノウハウを蓄積しており、冬の流行の備えに余念がありません。

全国の感染管理担当者が協議 徳洲会全体の質の向上に寄与

10月31日、感染管理部会は全国会議を開催しました。今回は人の移動を極力減らす目的で、部会執行部役員と南関東ブロックの介護施設を含む感染管理担当者が湘南藤沢徳洲会病院(同)講堂に集結し、それ以外の全国の担当者はWEBでの参加でした。特別講演として沖縄県立中部病院感染症内科の髙山義浩先生をお招きし、最新の新型コロナ情報を学びました。午後は参加者が8グループに分かれて新型コロナ対策を話し合いました。現時点で細かいことを言えば、徳洲会グループとしても、まだまだ改善すべきことは多く存在します。しかし、全国の感染管理担当者が同じ目的意識をもって集い、最新の知見を共有し、お互いに話し合えたことは、必ず徳洲会全体のレベルアップに寄与すると信じてやみません。

患者さんに安心・安全な医療を提供できるよう、皆で頑張りましょう!

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