2020年(令和2年)10月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1257 二面
鹿児島病院の台風10号対応
体制・物品整備が奏功
診療への直接的な影響回避
9月上旬に発生した台風10号は、とくに九州地方で大規模停電など大きな被害をもたらした。こうしたなか鹿児島徳洲会病院は3年前から災害対策を強化、体制や物品の整備・拡充に努めていたことが奏功し、診療への直接的な影響は見られなかった。同院は、あらためて備えの大切さを訴える。
院外にある吹き飛ばされそうな物を撤収
鹿児島病院は、気象庁から台風10号が特別警報クラスに発達し9月6日から7日にかけて九州地方に接近する可能性が示唆されたことなどを受け、4日に災害警戒本部・緊急対策会議を開催。池田佳広院長を筆頭に倉掛真理子・副院長兼看護部長、古堅剛事務長、臨床工学技士(CE)、システムエンジニア、医事課や総務課職員、DMAT(国の災害医療チーム)隊員の資格をもつ和田茂人・経営企画室長ら12人で停電や風水害、診療体制、職員への周知など、以後の対策や方針を検討した。
具体的には、携帯端末内の無料コミュニケーションアプリを活用し、同対策会議メンバー間で情報共有する体制を構築。情報収集に努めるかたわら、6日までに院外の看板や植木鉢など撤去、ランタンの配備や非常用自家発電機用の重油など備蓄の確認、防災使用物品の準備、院内に待機する職員の確認などを行った。
こうした準備を整え、最も風雨の強かった6日、7日も診療。6日夜には複数回の停電があったが、暴風域からはずれた7日未明まで直接的な影響はなかった。「停電の際は非常電源に切り替わり自動で復旧しました。空調設備や検査機器が一時使用できませんでしたが、診療には影響しませんでした」と和田室長。大きなトラブルなく乗りきった要因を「備え」と指摘する。
同院は2016年の熊本地震を契機に17年から災害対策の強化に着手。マニュアルを見直したり、DMATチームを増やしたりして院内の体制強化に努めた。同時に、物品も充足。ランタンを増やし各部署に配備、無線機も最新タイプに更新し増台。避難などに使用するエアストレッチャーも新規に購入した。
とても役立ったという無線機。鹿児島病院は19台に増台
「緊急対策会議や院内待機などに関するルールを明文化したり、池田院長就任後、経営が改善したため物品を増やしたりしました」(和田室長)。こうした試みにより、台風10号では看護師を中心に最大44人の職員が院内に宿泊し、シフトどおりに勤務。停電の際はランタンや無線機が活躍した。最新の無線機は「異なるフロア間でもクリアに通信できます。本当に役立ちました」と和田室長は振り返る。
同院の試みは鹿児島県内の徳洲会病院にも展開。山川病院にはエアストレッチャーを貸し出し、大隅鹿屋病院には、かつて無線機の有用性を説明したことから、台風が去った後、感謝された。和田室長は「あらためて備えの大切さを実感しました」と吐露。NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)の野口幸洋・事務局員とも連絡を密に取ったことも明かし、協力に謝意を表していた。