徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)10月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1257 四面

読み解く・読み得〝紙上医療講演〟㊴
乳がんの正しい知識を!

日本でもなじみのある言葉となったピンクリボン運動。世界的に行われている乳がんの啓発運動で、国内では1994年以来、毎年10月を「乳がん月間」、「ピンクリボン月間」に設定しています。乳がんに対する正しい知識を得るために、今回は東京西徳洲会病院の佐藤一彦・副院長兼包括的がん診療センター長が検査や治療法などポイントをわかりやすく解説します。

佐藤一彦・副院長兼包括的がん診療センター長 東京西徳洲会病院佐藤一彦・副院長兼包括的がん診療センター長 東京西徳洲会病院

乳がんは日本人女性の場合、がんのなかで最もかかる確率が高い疾患です。患者数は年々増加しており、乳がんを発症する割合もかつては50人に1人程度でしたが、食や生活習慣の欧米化などが原因で現在は約9人に1人と言われています。圧倒的に女性に多い疾患ですが、男性でも罹患(りかん)するケースがあります。

診断は問診や視触診、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、超音波検査、場合によってはMRI(磁気共鳴画像診断)検査などを行い、その結果、組織や細胞を採取して確定します。

症状は乳房のしこりが典型的ですが、乳頭から分泌物が出る、皮膚のひきつれやへこみなども挙げられます。いずれにしても乳がんは自分で気付きやすいがんと言えるでしょう。

治療法は主に手術、放射線治療、薬物療法となり、患者さんの状態に合わせ、これらを組み合わせ、治療を進めます。乳がんによる年間の死亡者数は増え続け1万人を超えていますが、最近は治療や検査の進歩により、患者数の増加にもかかわらず横ばいとなっています。米国では、転移していない乳がんに関しては、治療により9割以上が治るという統計もあります。

乳がんの検査で用いる機器(左から)マンモグラフィー、超音波装置、MRI乳がんの検査で用いる機器(左から)マンモグラフィー、超音波装置、MRI

大事なことは早期発見・早期治療です。乳がん分野の検査や治療法は目覚ましい速さで進歩しており、そのひとつが遺伝子検査・治療です。乳がんの5〜10%は、遺伝的な要因が強く関与していると考えられ、そのなかで最も多くの割合を占めるのが「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」です。

HBOCはBRCA1またはBRCA2という2種類の遺伝子が病的に変異することで、乳がんや卵巣がんのリスクが将来的に高まると言われています。この検査が、一定の条件下ではあるものの、4月に保険適用になりました。当院でもこれまで70人以上の方が、この検査を受けています。

治療も、化学療法では、ステージや生物学的特性によって薬を使い分け、手術と組み合わせ実施します。乳房温存手術では術後に放射線治療を行いますが、従来の外部照射だけでなく、当院が早期乳がんに対して実施している小線源を用いた乳房部分照射(PBI、乳房内部から腫瘍切除部分に近い場所にのみ放射線を照射する治療法)など、新しい方法も試みています。

PBIのイメージ

こうした遺伝情報による検査・治療の個別化は今後さらに進むと思われ、これらと従来のマンモグラフィーや超音波検査などによる個別・集団の健診・検診を組み合わせることが大切だと考えます。早期受診で治療の選択肢は確実に広がるので、気になることがあれば早めに医療機関に相談することを強くお勧めします。

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