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直言

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中川 秀光(なかがわひでみつ)野崎徳洲会病院(大阪府) 院長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

中川 秀光(なかがわひでみつ)

野崎徳洲会病院(大阪府) 院長

2020年(令和2年)10月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1257

一番重要なのはコロナ病棟看護師の感染と
職員の院外会食による感染持ち込みの回避
気の緩みや慣れの危険性を朝礼で繰り返し通達

早朝、心地よい冷気のなか、木々の華麗な変化に初秋を感じながら歩く20分の通勤が、最高の気分転換の時間です。徳洲会では新理事長、国政では新首相が誕生し、変化が矢継ぎ早に訪れていますが、依然として新型コロナウイルス感染症が医療に問題を投げかけ続けています。当院は3月、大阪府から新型コロナ肺炎患者さん受け入れの打診があり、倉庫を利用した許可病床外の休眠病棟を隔離病棟にし、軽症・中等症を対象とした38床を確保しました。北側入り口は完全閉鎖、南側を二重扉にし、一般病棟に影響がないようにしました。人工呼吸器、ECMO(エクモ)(人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療)を配置、同月25日から受け入れを開始しました。

CTでコロナを疑う場合はPCR検査を3回まで反復

受け入れにあたっては職員への感染防止を肝に命じ、装備・体制を整えました。検査装置はPCR2台、LAMP(ランプ)1台を設置し、病棟に関する業務は通常の病棟看護師以外に2人の専属看護責任者(1人は感染管理認定看護師)を配置し、感染防止指導や保健所、大阪府との休日を含めた対応を可能にしました。医師の配置については責任者1人と、私と2人の部長で患者さんを担当し、医局の常勤医師も順番に1日1回巡回するようにしました。看護師の勤務は2週間交代とし、勤務開始前と終了後はPCR検査で感染の有無を確認、検査を希望した時にも随時、検査可能としました。病棟看護師の動線は、地下の駐車場に通じる病棟直結の裏階段を使用(一般使用禁止)。患者さんの院内移動やCT(コンピュータ断層撮影)検査は夜間のみとし、とくに移動は、陰圧タイプの車いす型アイソレータ(感染拡大防止用のカバー)を用いています。

4月に入り問題が発生しました。コロナ病棟勤務の看護師2人が感染したのです。1人は患者さんからの執拗な接触、もう1人は外食機会による感染の可能性がありました。一般社団法人徳洲会東京本部の指導もあり、救急受け入れ、入院、手術、病棟間移動すべてを禁止し、全病棟患者さんと医師、看護師など職員全員を対象にPCR検査を施行、陰性を確認しました。その後2週間、感染発生がないことを確認し、すべてを再開。まず、救急搬送患者さんは全員LAMPとPCR検査を行い、早期確認可能なLAMPが陰性でもPCRの結果が出るまで、HCU(高度治療室)では陰圧テント内管理(3台、陰圧型の感染症対策用簡易折り畳み式ブース)、病棟では陰圧室5室でコロナ対応。手術室でも厳格に対応し、PCRの結果確認前は術後にHCUで陰圧テント内管理、結果判明後は陽性ならコロナ病棟、陰性なら一般病棟に移動します。

一般病棟を含めて家族などの直接的な面会は禁止し、ノートパソコンとタブレットを通じた面談を行っています。外来での入院予定患者さんは入院までの7日以内(可能なら4日以内希望)に全員PCRと胸部CTを施行。LAMPの感度が劣るため(当院ではLAMP陰性でPCR陽性が10%)、たとえLAMP陰性でもPCRを行い、CTでコロナを疑う場合はPCRを3回まで反復します。

院内へのコロナ持ち込みを防ぐため、2機の自動体温測定器を設置し、発熱者に対しては敷地内の2棟のプレハブと、その両サイドに検診車を配置したPCRセンターで、院内に入らずに検査を行います。職員の体調不良者もしかりです。夕診および時間外は院内の発熱外来で対応します。

コロナとインフルエンザを同時検出する遺伝子検査薬

一番重要なことはコロナ病棟の看護師の感染と、一般職員の院外での会食による感染の持ち込みを回避することであり、気の緩みや慣れが感染をもたらすことを朝礼で繰り返し通達しています。しかし、たとえ感染しても非難の対象にならないこと、それよりも体調が悪い場合や濃厚接触の機会があった場合は、躊躇(ちゅうちょ)せずすぐ連絡し、容易にPCR検査が受けられるようにし、また1週間の自宅待機を推奨する雰囲気づくりに努めています。当院は軽症・中等症対応が基本ですが、全症例中、重症8%、重症化し死亡した例も9月中旬までに12人と8・1%に及んでいます。現況は鎮静化の方向にありますが、第3波、第4波は必ず来るでしょう。またインフルエンザの季節が訪れるので、その鑑別も重要になり、遺伝子解析装置のFilmArray Torch(フィルムアレイ トーチ)システムを購入するとともに、コロナとインフルエンザを同時に検出する遺伝子検査薬の購入も予定しています。

備えあれば憂いなし。皆で頑張りましょう。

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