徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)8月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1250 三面

湘南鎌倉病院
陽子線治療やBNCT紹介
中国人向けオンラインセミ

最先端の放射線治療を解説する後藤室長(左)最先端の放射線治療を解説する後藤室長(左)

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は7月3日、陽子線治療やBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)など放射線治療をテーマとした中国人向けオンラインセミナーを、板橋貿易社と共催した。同院は2021年4月に高度ながん医療を提供する先端医療センターを開設予定で、同年末から陽子線治療やBNCTを開始する計画がある。

中国では先進的ながん医療に対する関心やニーズが高まっており、健診・人間ドックや治療を目的に訪日する外国人の方々を積極的に受け入れている同院は、情報発信の一環で開催した。医療関係者や一般の個人の方々など744人が視聴した。

講師を務めたのは同院放射線腫瘍科の後藤紳一室長(医学物理士・医学博士)兼先端医療センターマーケティング推進室長。一般社団法人徳洲会(社徳)東京本部の会議室から生中継で配信した。板橋貿易社の文都蘇・医療事業部職員が通訳した。

後藤室長は「放射線照射が、がんに効くのは直接的・間接的に、がんのDNA(デオキシリボ核酸=遺伝情報)に損傷を与えるためです」と解説。その上で、同院が2台導入している高精度放射線治療装置トモセラピーが得意とするIGRT(画像誘導放射線治療)やIMRT(強度変調放射線治療)といった高い精度と副作用の低減に寄与する治療技術を紹介した。

続けて陽子線治療に話を移し、「従来の放射線治療に用いるX線は照射後、身体の中に入ると少し深いところでエネルギーのピークに達し、徐々に減衰します。そのため正常組織も一定程度被曝します。一方、陽子線はブラッグピークと呼ばれる特性があり、狙ったがんの深さに達したところで突然、全エネルギーを放出し、その後すぐに消失します。がんには集中的に当たるが、周囲の正常組織はほとんど被曝がありません」(後藤室長)。

こうした陽子線の特性により、耐用線量(重篤な副作用が生じない線量)の観点から、食道がんや肝臓がん、膵(すい)臓がん、前立腺がん、肺がん、頭頸部(とうけいぶ)がん、乳がん、小児がんなどの治療で有用だと指摘した。陽子線治療は現在、頭頸部がん、骨軟部がん、前立腺がん、小児がんの一部が公的医療保険の対象となっている。

この後、BNCTに言及。1930年代にイギリスで中性子が発見され、その20年後に、がん治療での利用がスタートした。以降、英米や日本で行われた研究の歴史などを概観。BNCTは「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」を適応疾患として、今年6月1日付で保険診療として実施できるようになった最新の治療法だ。これまでの国内外の臨床研究では、難治性脳腫瘍、悪性黒色腫(メラノーマ)や胸膜中皮腫に対する治療実績もあるという。

「BNCTはホウ素と熱中性子の核反応を利用した治療法です。現在主流のホウ素化合物であるBPA(ボロノフェニルアラニン)を患者さんに点滴し、腫瘍に取り込ませます。患部に照射した熱外中性子は体内に入ると熱中性子になり、ホウ素と熱中性子が反応してアルファ線とリチウム7粒子が放出され、腫瘍にダメージを与えます。これらふたつの粒子線は非常に短い距離しか飛びませんので、正常組織が被曝することはほぼありません」(後藤室長)

またBNCTでは、画像診断で視認できない腫瘍にもホウ素が取り込まれて治療されるため、再発リスクも低減され治療効果が高くなることなどを解説した。最後に質疑応答を行い、後藤室長は丁寧に回答。セミナー参加者に向け「当院では“どのような患者さんも断らないがん治療”を実践していきます」と意気込みを伝えた。

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