徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)8月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1250 一面

成田富里病院
ツリウムレーザー前立腺蒸散術スタート
出血少なく回復早い前立腺肥大症の治療法

成田富里徳洲会病院(千葉県)は前立腺肥大症に対するツリウムレーザー前立腺蒸散術(ThuVAP)を開始した。導入したのはCyber TMという装置。8月17日現在で全国15施設が導入しており、同院は13施設目だ。千葉県内では初、徳洲会グループでも初。保険診療として行うことができ、同院は1例目の手術を5月20日に実施した。同蒸散術は術中・術後の出血や術後の疼痛(とうつう)が少なく回復が早いなど恩恵が期待できる治療法。同院は内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」もあり、3人いる常勤の日本泌尿器科学会専門医全員が施行できる。同蒸散術を加え今後より一層、地域医療の充実に貢献していく考えだ。

全国13施設目 千葉県・徳洲会で初

ツリウムレーザー手術装置「Cyber TM」(画像提供:エダップテクノメド)ツリウムレーザー手術装置「Cyber TM」
(画像提供:エダップテクノメド)

前立腺は男性に備わる生殖器のひとつで、膀胱(ぼうこう)の下にあるクルミほどの大きさの臓器をいう。前立腺肥大症はQOL(生活の質)を大きく左右する疾患。加齢などにより前立腺が肥大することで、尿を出す“排尿”や、尿をためる“蓄尿”に関連した障害を引き起こす。60代以上であれば珍しくない疾患だ。悪化すると尿閉など合併症を引き起こし、場合によっては手術を行う必要がある。

尿閉や尿路感染、膀胱結石など合併症がなければ、まず薬物療法を行うが「内服薬の治療だけでは十分に症状が改善しない場合や、内服薬を継続したくない場合などは手術の適応となります」と成田富里病院泌尿器科の荻島達也部長。

手術療法には、①肥大した前立腺を開腹手術により摘出、②尿道から内視鏡を挿入しループ状の電気メスで切り取る経尿道的前立腺切除術、③尿道から内視鏡を挿入し、内視鏡下に高出力のレーザーを前立腺に照射して蒸散(蒸発)させるレーザー前立腺蒸散術、④尿道から内視鏡を挿入し、レーザー照射により前立腺をくり抜き膀胱の中で細切して取り出すレーザー前立腺核出術――などがある。

「地域の泌尿器科診療の充実に貢献したい」と荻島部長「地域の泌尿器科診療の充実に貢献したい」と荻島部長

現在、開腹手術はほとんど行われておらず、低侵襲な内視鏡下の治療法が一般的だ。ツリウムレーザーは③レーザー前立腺蒸散術や④レーザー前立腺核出術に使用することができる。

ツリウムレーザー前立腺蒸散術は、先端からレーザーを発する細い管状のファイバーを装置本体に接続、同ファイバーを尿道から挿入し、内視鏡で目視しながら前立腺にレーザーを照射し蒸散させていく。これにより尿道を広げ、症状の改善を図る治療法だ。

「ツリウムレーザー手術の特徴は、①手術中・手術後の出血が少ない、②出血が少なく止血効果も大きいため、抗血栓療法中(血液をサラサラにする薬を内服中)の患者さんにも手術可能、③手術後の痛みが少なく回復が早い、④早期退院が可能(入院期間は4~5日)――であることです。また、どの手術でも術後数日間は尿道カテーテルを留置する必要がありますが、回復が早いことから、より短期間で尿道カテーテルを抜くことができます」(荻島部長)

日本泌尿器科学会『男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン』では、「効果と安全性に関する根拠は十分ある(レベル2)。出血のリスクは少なく前立腺体積によらず適用可能である(推奨グレードB)」と評価。欧州のガイドラインでは推奨グレードAに位置付けられているという。

荻島部長は「導入したツリウムレーザー装置は最大出力200Wという高出力で、とてもパワフル。かなり大きな前立腺でもしっかりと蒸散できます。また、組織へのレーザーの深達度は0・1~0・2㎜と非常に浅く、狙った部位をピンポイントに蒸散し、安全に手術を進めることができます」とアピールする。

術前の検査では、エコー(超音波)もしくはMRI(磁気共鳴画像診断)で前立腺の大きさを測定。このほか、前立腺肥大症の重症度を評価するIPSS(国際前立腺症状スコア)や、尿流量測定、前立腺がんを除外するためのPSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)を調べる。5月20日に1例目を実施、その後も症例を重ねている。標準的なスケジュールでは入院期間は4日間。

荻島部長は2013年から16年まで千葉徳洲会病院に泌尿器科部長として在籍。その後、大学病院などでの勤務を経て20年4月に成田富里病院に入職。同院泌尿器科には佐藤陽介部長、青木悠介医師も在籍し、3人ともダヴィンチ手術の認定資格をもつ。佐藤部長と青木医師は「日本泌尿器内視鏡学会泌尿器ロボット支援手術プロクター(指導医)」の資格も有する。

同院では、ダヴィンチによる前立腺がんに対する前立腺全摘術、膀胱がんに対する膀胱全摘術、腎がんに対する腎部分切除術をカバーするなど、泌尿器疾患に対する専門的な治療に幅広く取り組んでいる。

「総合病院として幅広く地域の方々の健康をサポートしていきたいと考えています。ご自身やご家族、知り合いの方などで、健康面に不安やお困りのことがありましたら、ぜひお気軽に当院を受診してください」と荻島部長は呼びかけている。

ツリウムレーザー前立腺蒸散術のイメージ図

PAGE TOP

PAGE TOP