2020年(令和2年)6月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1240 一面
葉山ハートセンター
オンラインで医療講演 「Zoom」活用し盛況
対面式よりも参加者数が大幅増
オンライン医療講演の実施風景。背景にバックボードも配置
新型コロナウイルス感染症対策として3密(密閉・密集・密接)回避が求められ、従来どおりの形態での医療講演の開催が難しいなか、新たな動きとしてオンラインで開催する取り組みが活発化している。葉山ハートセンター(神奈川県)は5月中旬以降、WEB会議システム「Zoom」を活用したオンライン医療講演を実施している。
徳洲会グループでは感染予防のため、対面式の医療講演については緊急事態宣言解除後も、開催する場合は100人未満かつ会場の収容数の50%以下とし、換気、マスク着用、距離確保、手指消毒など感染対策を徹底するなど条件を設けている。
同院がオンライン医療講演を始めたのは、神奈川県の緊急事態宣言解除がまだ見とおせなかった5月上旬。発案した飯田浩司副院長は「自分が利用しているスポーツクラブが新型コロナの影響で営業休止していました。その間、Zoomでオンラインヨガのサービスを行っていると聞き、ふだん私はヨガはやらないのですが、オンラインなら参加してもいいかなと思ったのがきっかけです。聞いてみたらZoomはそれほど難しいものではないとのことでしたので、『これは医療講演にも使えるかもしれない』と思いました」と振り返る。
コロナ禍のなかでも健康管理に資する医療情報を発信するのは医療機関の大切な役割だ。患者さんにとっては医療従事者に直接疑問をぶつけられることが、医療講演を受講するメリットのひとつとなっている。質疑応答が可能な対面式の医療講演の良さを取り入れつつオンラインで開催する場合、多数が参加でき双方向のコミュニケーションが可能なZoomはちょうど良いツール。また、全国のどこからでも送受信が可能で、グループ病院間で医療講演を共催することもできる。実際に7月以降、葉山ハートセンターと名古屋徳洲会総合病院は共催講演を予定しているという。
葉山ハートセンターでは5月12日、14日に飯田副院長が講師となり「最新の心臓血管外科治療」をテーマに試験的にオンライン医療講演を実施。26日から本格的に開始した。26日には2本立てで開催し、看護師による「新型コロナウイルス感染症対策で学んだこと」という講演は約80人が聴講。講演後は音声とチャット機能(文字入力)の両方で質問を受け付け、口頭で回答した。5~6月で多職種が計15本の医療講演を実施。たとえばテーマは漏斗胸(ろうときょう)・鳩胸治療、脳腫瘍、免疫力を上げる食事、腰痛に隠れた内科疾患、認知症予防、心不全ケア、内視鏡検査など。「これまでに開催したオンライン講演は、対面式の講演よりも参加者数が大きく増加しています。対面式の講演の単なる代替ではなく発展形と言えます。オンラインで受講できる方と、対面式の医療講演に来られる方では、受講者層が異なる部分もあると思いますので、感染終息後もそれぞれの方法で医療講演を続けていきたいと考えています」(飯田副院長)
名古屋病院や湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)もオンライン医療講演に取り組んでいる。