徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)8月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1198 三面

一般演題 ENDO CLUB学術集会
過去最多23演題発表
徳洲会消化器内視鏡部会開く

徳洲会消化器内視鏡部会は7月20日、札幌東徳洲会病院で第10回ENDO CLUB学術集会を開催した。消化器内視鏡に関する知識・技術の向上に加え、病院間の情報共有や連携強化などを目的として2010年以降、毎年開催している。今回は過去最多の23演題に上る一般演題や、内視鏡ライブ、特別講演を実施。消化器内科や外科、内科、総合診療科の各科医師や研修医、看護師ら約80人の参加者が熱心に聴講した。

消化器内視鏡の知識・技術向上

全国から約80人が参加し研鑽全国から約80人が参加し研鑽

冒頭、第10回学術集会の当番世話人を務めた札幌東病院IBDセンターの前本篤男・副院長兼IBDセンター長が「多数の一般演題の応募をいただき、ありがとうございます。本会が徳洲会グループ病院の消化器診療の向上につながり、多くの患者さんに役立てられるような実りのある会になることを期待しています」と開会挨拶。

内視鏡ライブは札幌東病院の伊藤貴博IBDセンター部長が術者となり、内視鏡的バルーン拡張術2症例を実施。前本副院長と札幌東病院消化器・IBDセンター外来の袴田麻美・看護主任が座長を務めた。

当番世話人の前本副院長が開会挨拶当番世話人の前本副院長が開会挨拶

前本副院長が症例紹介や内視鏡的バルーン拡張術の適応、注意点や合併症などを説明後、会場のモニターに内視鏡室のライブ映像や、透視画像、内視鏡画像を映し、質疑を交わしながら伊藤部長が手技のポイントなどを解説した。

1症例目はクローン病小腸大腸型、2症例目はクローン病小腸型の患者さん。炎症性腸疾患の一種であるクローン病では、消化管に生じた潰瘍が治る時に瘢痕(はんこん)収縮を起こし、狭窄(きょうさく)が生じることがある。内視鏡下でバルーンカテーテルを用いて狭窄部位を拡張する治療法が内視鏡的バルーン拡張術だ。伊藤部長は「患者さんが痛みを訴えていないかどうかを確認しながら、ゆっくり狭窄部位を拡張していくことが肝要です」と参加者に呼びかけた。

12病院から演題発表

一般演題は過去最多の23演題に上った。病院ごとの演題数は、岸和田徳洲会病院(大阪府)6演題、札幌東病院、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)が各3演題、福岡徳洲会病院、武蔵野徳洲会病院(東京都)が各2演題、中部徳洲会病院(沖縄県)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)、高砂西部病院(兵庫県)、宇治徳洲会病院(京都府)、札幌徳洲会病院、千葉西総合病院、東京西徳洲会病院が各1演題。

中部徳洲会病院の仲間直崇・消化器内科医長は看護師と2人でも安全に行えるClutchCutterを用いたESD(内視鏡的 粘膜下層剥離(はくり)術)の方法を紹介。武蔵野病院の吉本泰治・消化器内科部長は動画を供覧しながら、ESDでフラッシュナイフの出し入れなどの操作を容易にするために考案したNelaton Attachmentを紹介した。

湘南藤沢病院の永田充・内視鏡内科部長はESDの視野確保や手術時間短縮に有用なS―Oクリップについて発表。高砂西部病院の西村東人・消化器・炎症性腸疾患内科医長は喘息(ぜんそく)用フルチカゾン吸入用製剤局所投与を行った好酸球性食道炎の症例を発表、岸和田病院の四至本貴大・消化器内科医師は好酸球性胃腸炎に関する症例を紹介した。同じく岸和田病院の河野通史・消化器内科医師はカンピロバクター腸炎の臨床的特徴と内視鏡的所見の検討結果を発表した。

宇治病院の山﨑康臣・救急総合診療科医師は肝膿瘍、前立腺直腸瘻(ろう)を合併した侵襲性クレブシエラ感染症の症例を報告。札幌東病院の佐藤允洋・消化器内科医師は患者さんが誤飲した大量のアルカリ乾電池を、内視鏡を用いて摘出した症例を紹介。来院時、誤飲から15時間が経過しており、乾電池の内容物漏出による粘膜障害や潰瘍・穿孔(せんこう)のリスクがあるため、上部消化管内視鏡で除去した。

湘南鎌倉病院の田㟢潤一・消化器病センター医師は、腸管洗浄剤内服後の大腸閉塞に対するステント留置術の安全性を検証し、結果を報告した。福岡病院の福田容久・消化器内科医長はAPC(アルゴンプラズマ凝固)を用いた食道静脈瘤地固め療法に関する症例発表を行った。

会場と内視鏡室を結びライブを実施会場と内視鏡室を結びライブを実施

福岡病院の仲道孝次副院長は、盲点の少ない十二指腸観察を実行するための内視鏡挿入法をテーマに発表。札幌東病院の木村圭介・消化器内科主任部長は大腸憩室出血に関して、経口洗浄剤による前処置の有無による比較を行った。岸和田病院の露口恵理・消化器内科医師はDieulafoy潰瘍の臨床的特徴を明らかにするために基礎疾患や内服薬、部位、治療内容、再出血の有無などを検討。

湘南鎌倉病院の田澤智彦・消化器病センター医師は、術後診断で小腸AVM(動静脈奇形)の確定診断となった小腸血管性病変について発表した。岸和田病院の星川聖人・消化器内科医師は、潰瘍性大腸炎の5―ASA(アミノサリチル酸)不耐例を対象に、添加物に着目し5―ASA経口製剤の比較検討を行った。同院の谷川祐二・消化器内科医師は、生物学的製剤の変更後に発症した潰瘍性大腸炎合併脊椎(せきつい)関節炎の症例を報告。

札幌東病院の西原聖仁・初期研修医は、潰瘍性大腸炎の術後の合併症として回腸嚢(のう)炎が知られているものの、臨床的特徴や治療方法は不明な点が多いことから、術後の回腸嚢炎症例について検討。発症頻度、性別、年齢、術式、術後から回腸嚢炎と診断されるまでの期間、回腸嚢炎の治療内容を調べた。

岸和田病院の安部瞬・消化器内科医長はIBD(炎症性腸疾患)の治療薬であるチオプリン製剤導入前に、重篤な副作用(白血球減少)のスクリーニング検査としてNUDT15遺伝子検査を行う有用性を検討した。

AI画像診断支援システムにつ
			いて特別講演する多田会長AI画像診断支援システムにつ いて特別講演する多田会長

武蔵野病院の浅野朗・総合診療科部長は、診断に苦慮した胆汁うっ滞型薬剤性肝障害について、札幌病院の東直樹・消化器内科部長は急性胆管炎後に生じた原発性胆汁性胆管炎について、それぞれ症例発表を行った。湘南鎌倉病院の小泉一也・消化器病センター主任部長はERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管(すいかん)造影)関連手技をテーマに発表。千葉西病院の保坂祥介・消化器内科医長は80歳以上の高齢者の悪性胆道狭窄症例に対する内視鏡治療について検討した。

最後の演者である東京西病院の山本龍一・肝胆膵内科部長兼内視鏡センター長兼消化器病センター長は、胆管・膵管鏡システムのSpyglass DSおよびEUS(超音波内視鏡)下interventionの治療成績をテーマに発表。Spyglass DSは新型の胆道鏡で、従来に比べ優れた操作性やデジタル化による画質の向上が特徴だ。

内視鏡AIで特別講演

特別講演は昨年に引き続き、AIメディカルサービスの多田智裕・代表取締役会長兼CEOを招聘(しょうへい)。「世界に挑戦する日本の内視鏡AI」と題して講演を行った。多田会長はAI(人工知能)を活用した内視鏡画像診断支援システムを開発し、実用化に向けて取り組んでおり、徳洲会グループでは湘南鎌倉病院、湘南藤沢病院、岸和田病院が同システムの共同研究に参画している。

多田会長は、画像診断はAIが最も得意とする分野であり、医療現場でのAI実用化は画像診断支援分野から進んでいくと指摘。AIに欠かせないディープラーニング(深層学習)などについて解説したうえで、内視鏡画像を提示しながら画像診断支援システムの機能や精度などを紹介した。

閉会挨拶で札幌東病院の太田智之院長は「本会は当初、消化管の診療を対象とした医師の集まりでしたが、その後、肝胆膵や臨床研究などもテーマとして扱う消化器系の総合的な部会になってきました。今後ますます発展していくことを期待しいます」と呼びかけた。

最後に次回開催予定施設である名古屋徳洲会総合病院の高山悟・副院長兼消化器外科部長兼消化器内視鏡治療センター長が次回の当番世話人として挨拶し、盛況裏に閉会した。

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