徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

岡 進(おかすすむ)(一般社団法人徳洲会理事長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

岡 進(おかすすむ)

笠利病院院長(鹿児島県)

2019年(令和元年)8月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1198

多くの方々が町内での治療を希望
その願いに応えるために日々尽力
奄美地区は総合診療医を育てる絶好の環境

笠利病院は奄美大島の北部に位置する奄美市笠利町にあります。奄美空港が近く、当院から車で5分の距離。東京、名古屋、大阪、福岡、鹿児島、沖縄に直行便があり、離島とはいえ奄美大島は私が勤務したなかでは一番便利な場所です。

鹿児島市から始まる国道58号線は、奄美大島を貫いて沖縄に達しています。国道ですから整備は十分で、峠道はトンネルに変わり、走行は快適になりました。島の中心地、名瀬の繁華街は、県内では鹿児島市に次いで2番目の規模。自然や伝統文化が多く残っており、住んでいる人も温かく、とても魅力的な島です。最近ではテレビで放映されることも多く、たくさんの観光客に来島いただいています。

笠利町の人口は約6000人です。交通弱者の高齢者が多く、病院の送迎バスが頼りです。私は消化器外科が専門で、消化器疾患、糖尿病、外傷などが得意です。現在は慣れましたが、赴任当時は内科疾患に大汗をかいていました。町内には当院のほか、診療所が2カ所。夜間の受け入れは当院のみです。一番近い総合病院には車で1時間ほど。町内で治療を希望される方が多く、私はこの願いに応えるために日々尽力しています。

職員が認定技師の資格取得低線量肺がんCT検査開始

内科、外科を問わず、どのような疾患も診ていくという気持ちから、日本プライマリ・ケア連合学会の認定医、指導医を取得、また日本病院総合診療医学会の認定医を取り、指導医取得のために学会に参加しています。

当院にはCT(コンピュータ断層撮影装置)があり、十分活用しています。健診などで約1年間に早期がんを5例診断し、手術の運びとなりました。これは沖縄の中部徳洲会病院放射線科部長の具志堅益一(ぐしけんますいち)先生の読影に裏付けられたものです。手術は鹿児島の大隅鹿屋病院呼吸器外科部長の朝戸裕二(あさとゆうじ)先生にお願いし、すべて経過良好です。

1年間で5例の早期肺がんを経験したことから症例をまとめ、2016年6月の日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で発表しました。最近では当院の前田征二・診療放射線技師が肺がんCT検診認定技師の資格を取得しましたので、「低線量肺がんCT検診」を始めました。

笠利病院には一般病棟はなく、すべて療養病棟です。離島ブロックの他の病院は急性期病棟があり研修医が来ますが、当院には来ません。このため何でも経験したいという研修を終えた医師に来てもらえるよう条件を整えています。また医師ひとりでも専門性を発揮できる手技として、徳洲会に入職してからペインクリニック(痛みの治療)に取り組みました。星状(せいじょう)神経ブロック、仙骨ブロック、頸部(けいぶ)硬膜外ブロックなどを得意としています。他の治療とも組み合わせ好評です。このブロックを覚えたいという医師が数人いて、私の技術をマスターしました。現在も、ひとりの医師が定期的に診療に来られ、患者さんにも喜ばれています。また下肢静脈瘤(りゅう)硬化療法は100例ほど行い、患者さんはいなくなりました。

大事なのは生まれる子どもを増やすこと

奄美地方も高齢化が進んでいますが、少子化というわけではありません。若い母親は3~4人の子どもを産み、育てます。家の近くに親や親戚がいて、隣近所は皆知り合いです。大事なことは生まれる子どもを増やすことです。生まれる子どもが増えれば、年金問題など吹っ飛んでいきます。ベビーブームのような人口ピラミッドにするように努力しなければなりません。

日本の医療費は年間約40兆円です。この1割の4兆円を、年間に生まれる子ども約100万人で割ると一人当たり400万円です。医療費を1割削減し、これを子どもに回します。「出産時に400万円の育児手当がもらえるとしたら、どうしますか」と話すと、多くの方が「それなら、もっと子どもが欲しい」と答えました。生まれた子どもには条件を付けずに、その育児手当を母親に渡します。奄美地方で、これが実現できたら素晴らしい試みだと思います。

奄美地区には救命救急センターをもつ鹿児島県立大島病院と、名瀬徳洲会病院があります。日頃から連携を取り、当院で治療困難な患者さんは、お願いしています。奄美地区は何でも診られる総合診療医を育てる絶好の環境であると思っています。

島民の方々が安心して暮らせるよう、離島医療の充実のため、皆で頑張りましょう。

PAGE TOP

PAGE TOP