2019年(令和元年)8月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1198 一面
先端技術大賞で「フジテレビジョン賞」
福永・湘南鎌倉病院放射線科医師が受賞
不均一な放射線被ばくの影響テーマ
授賞式で記念撮影に応じる福永医師(左)
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の福永久典・放射線科兼放射線治療研究センター医師は「第33回独創性を拓く先端技術大賞」で「フジテレビジョン賞」を受賞、7月11日に高円宮妃久子さまをお迎えして都内で行われた授賞式に出席した。先端技術大賞は、先端技術分野で優れた研究成果を挙げた理工系の学生と企業の若手研究者・技術者を対象に、フジサンケイビジネスアイが創設した表彰制度。学生部門と社会人部門それぞれに最優秀賞、優秀賞、特別賞が贈られる。
福永医師が受賞した「フジテレビジョン賞」は学生部門の優秀賞のひとつ。2016年から英国・クイーンズ大学ベルファスト大学院に留学し、その当時取り組んだ研究の成果を「不均一な放射線被ばく後の精子形成能の検討〜原子力災害後の環境放射線被ばくリスクの解明を目指して〜」と題する論文にまとめ応募したところ、高く評価された。
式後のレセプションで福永医師は久子さまに論文の内容を説明
内容はマウスの精巣を用いて放射線を不均一に当てたところ、精子の形成には影響が見られないことが判明。原子力災害による生物への影響は総被ばく線量だけでなく、被ばくの仕方(均一・不均一)などによっても変わる可能性を示唆し、丁寧に検証する必要性を指摘した。
福永医師は「11年の東日本大震災後に福島県相馬市の病院に勤務した時、患者さんから非常に多くの相談を受けました。しかし、根拠がないため何も答えられず、自分で研究することを決めました」と説明。「久子さまから『福島の方に良いメッセージになりそうですね』との、お言葉をいただきました」と目を輝かせ、「来年、当院に開設予定の先端医療センターに最新の放射線治療装置が導入される構想もあり、この研究が将来的に放射線治療にも応用できるよう努めてまいります」と意欲を見せている。