徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)5月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1185 四面

徳洲会グループ
タンザニアの腎移植を継続支援
3月に3例実施で通算7例

徳洲会グループは“生命だけは平等だ”の理念の下、東京女子医科大学とともに、アフリカのタンザニア連合共和国で、現地医療スタッフによる腎移植を支援している。3月15、16日に計3例の腎移植をサポート、ドナー(臓器提供者)、レシピエント(臓器受給者)ともに、いずれも経過は良好だ。支援した手術は2018年3月以来、通算7例となった。現地医療スタッフへの技術移転が進んできたことをふまえ、今回は従来よりも支援メンバーの規模を縮小し滞在期間も短縮して実施。今後、約1年かけて現地医療スタッフの技術の完成度を高め、支援なしで腎移植を完遂できるようにする。

現地医療者による手術サポート

通算5〜7例目の腎移植を支援。手術を無事に終えた日本とタンザニアのスタッフ 通算5〜7例目の腎移植を支援。手術を無事に終えた日本とタンザニアのスタッフ

これまでにタンザニアで支援した腎移植は2018年3月に初めて施行した1症例を皮切りに、同年8月の3症例を合わせ計4症例。さらに今回で計7症例になった。手術はすべてタンザニアの首都ドドマにある国立ドドマ大学付属ベンジャミン・ムカパ病院で実施した。

今回現地を訪問したのは、医療法人徳洲会の東上震一・副理事長兼岸和田徳洲会病院(大阪府)院長、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の小林修三・院長代行、日髙寿美・腎移植内科部長、三宅克典・腎移植外科医長、中川加央里看護師、野崎徳洲会病院(大阪府)の武富太郎・副院長兼麻酔科部長、一般社団法人徳洲会のムワナタンブエ・ミランガ・アフリカ担当顧問。東京女子医大からは田邉一成・同大病院長兼泌尿器科主任教授、奥見雅由准教授が訪問した。

右から三宅医長、小林・院長代行、日髙部長 右から三宅医長、小林・院長代行、日髙部長

徳洲会は13年にタンザニアの国立ドドマ大学付属透析センターの開設を支援。徳洲会の技術指導により、現地の医療者がシャント造設手術や透析機器のメンテナンスを行えるようになった。16年9月にはタンザニア保健省から次のステップとして、腎移植実施のための支援要請を受けた。

それまで同国では腎移植を実施できる施設がなく、移植希望者はインドなどで移植を受けており、自国での腎移植実施が大きな目標となっていた。徳洲会はタンザニアの要請を受け入れ、腎移植に関し日本で豊富な実績をもつ東京女子医大の協力を得て、腎移植支援プロジェクトを17年にスタートした。

真剣なまなざしで手術を行うタンザニアの医療スタッフ 真剣なまなざしで手術を行うタンザニアの医療スタッフ

当時、タンザニアでは移植医療に関する法制度が未整備だったため、法制度の整備を同国政府に求め、移植医療環境の整備に努めた。また、ムカパ病院の医師や看護師などが日本で研修を受けるのと並行し、徳洲会スタッフが手術室やICU(集中治療室)の準備、患者選定に必要な検査の指導などのため、数回にわたって現地を訪問。

手術予定の2日前になって、ようやく手術室が使用可能な状態になるなど、ぎりぎりの調整が続いたが、18年3月22日、タンザニアの医療者による初の腎移植手術を無事に終えた。

3回目の訪問となる今回は、3組ともドナー、レシピエントが男性で、兄弟2組、親子1組という組み合わせ。予後はいずれも合併症がなく良好だ。現地滞在中には昨年3月と8月に腎移植を行った4人のレシピエントが、ムカパ病院を受診のため訪れ日髙部長、中川看護師と面会、元気な姿を見せるひと幕もあった。

セカンドステージに突入

これまでに支援したタンザニアでの腎移植症例

症例 実施日 レシピエント ドナー レシピエントとの関係
性別 年代 性別 年代
12018年3月22日男性50代女性40代
22018年8月28日女性40代女性40代
32018年8月29日女性20代男性50代叔父
42018年8月29日男性40代男性40代
52019年3月15日男性50代男性50代
62019年3月15日男性50代男性20代子ども
72019年3月16日男性30代男性40代
小林・院長代行は「手術室の看護業務に関しては、ほぼすべて現地の看護師が行えるまでになり、術前・術後の管理や、手術そのものに関してもかなりの部分を現地の医師だけで担えるようになりました」と現地医療スタッフの成長ぶりを評価する。こうした状況を受け「16年の準備段階から通算7症例を終えた今年3月で、タンザニア腎移植プロジェクトのファーストステージが終わり、現在はセカンドステージにあると位置付けています」と説明。

「あと1年で、現地スタッフだけで術前から手術、術後まで、すべての工程を不安なく安全に行えるように精度を高めていきたいと考えています。具体的には現地の外科、泌尿器科、内科の各医師、手術室看護師を日本に招き、約1カ月間の研修を受けていただく予定です」と今後の計画を話す。

移植にともなう拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤の投与など、内科的な医療処置について指導を行う日髙部長は「前回、今回とも予定症例数を上回る移植希望者が候補者として挙げられており、タンザニアでの腎移植のニーズの高さを感じます。細かい点で詰めていく必要はありますが、私たちが到着する前に、あらかじめ免疫抑制剤の投与や検査を行うなど、移植術についての理解がだいぶ進んでおり、やる気をもって取り組んでいます」と振り返る。

昨年3月と8月に腎移植を行ったレシピエントの元気な姿。日髙部長(右)、中川看護師(左)と再会 昨年3月と8月に腎移植を行ったレシピエントの元気な姿。日髙部長(右)、中川看護師(左)と再会

また「血液型不適合の組み合わせの場合、血漿(けっしょう)交換を行う必要がありますが、血漿交換の装置は現地にもありますので、将来的にはそうした特殊な組み合わせでも移植ができるようにステップアップしてほしい」と展望している。

手術手技を指導している三宅医長は「今回は3回目の訪問だったので、手術のクオリティを維持しながら、現地の医師が、できる範囲を広げることに注力しました。術前の準備、術前・術後の管理などは、ある程度できるようになってきました。血管を吻合(ふんごう)する際の手術手技に関しては、もう少し指導継続の必要があるので、しばらくトレーニングを続けたい」と話している。

“セカンドステージ”を終え、タンザニアの医療者が自立して腎移植に取り組めるようになれば、引き続き同国の隣国などに対する技術支援が期待される。

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