徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

松下 晴彦(まつしたはるひこ)(和泉市立総合医療センター院長(大阪府))

直言 生命いのちだけは平等だ~

松下 晴彦(まつしたはるひこ)

和泉市立総合医療センター院長(大阪府)

2019年(令和元年)5月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1185

公設民営化後も医療の本質は全く同じ
「患者さんのため」の病院であり続ける
「良い診療を」との理事長メッセージに胸熱く

「呼吸器診療、期待していますよ」――。一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長の笑顔と鋭い眼光の前に少し萎縮した私は、理事長の握手に応じました。今から5年前の和泉市立病院(旧病院)でのワンシーンです。公設公営の市民病院であった当院に1991年から勤務していた私は、この時、自治体病院は公設公営の運営形態が良いのではという思いの一方、赤字経営で苦労が絶えなかった歴代院長の苦悩を思い浮かべていました。

公設公営のままであっても、指定管理(公設民営)を受け入れても、経営改善だけでなく病院の新築移転も避けて通れません。しかし5年前の時点で公設公営を続ける道は、すでに絶たれていました。当然、その場に居合わせた徳洲会グループ幹部と和泉市立病院幹部は、そのことを十分承知していました。どのみち和泉市立病院は、いばらの道しか待っていないのですが、徳洲会は拾わなくてもいい火中の栗をあえて拾いました。そのような状況のなかで、「良い診療を続けてください」という鈴木理事長の最初のメッセージに胸を熱くしました。

中途半端に棄権せずこの地で診療継続しようと自身に誓う

そのメッセージが「病院幹部として経営改善に邁進(まいしん)しなさい」であったら、違った道を歩んでいたかもしれません。いずれにしても新たにスタートする和泉市立病院で働き続けると決心しました。誰に頼まれたわけでもなく、個人としての選択です。この道を選んだ限り中途半端に棄権はせず、この地でこれまで続けてきた呼吸器診療を継続しようと自身に誓いました。

2018年4月1日、病院名を和泉市立総合医療センターに変更し、旧病院から徒歩10分ほどの槇尾川(まきおがわ)沿いに、新築移転しました。オープン前の内覧会から、すごい人の賑(にぎ)わい。内覧会の準備をしたスタッフの功績も大きいと思いますが、市民の期待の大きさも実感しました。

新病院の効果はすごく、患者さんの表情だけでなく、職員の顔つきも、それまでと変わりました。背筋もしっかり伸び、心なしか患者さんに話す言葉も丁寧に聞こえました。これまで午後5時までには終わることのできた呼吸器外来が、午後6時になっても終わりません。

新築移転前を振り返ると、指定管理後、なかなか業績が好転しませんでした。320列CT(コンピュータ断層撮影装置)や新しい気管支鏡システムを導入し、一時は閉鎖に追い込まれた呼吸器病棟も再開できました。呼吸器内科の診療実績は伸びていましたが、夏場の落ち込みが激しく、病院全体としても職員の頑張りは伝わるものの、なかなか結果が出せませんでした。

そのようななかで新築移転計画が進んでいきました。基礎工事までは結構時間がかかりましたが、建物が建ち始めると、どんどん進捗(しんちょく)していきました。

新病院に生まれ変わるのは嬉しかったのですが、本当にやっていけるのか。また、診療科が増えるのはわかっていたのですが、患者さんが増えるのか、患者さんがこの病院を選択してくれるのか。不安が募るなか、新病院の完成が近づいてきました。18年2月、待ちに待った竣工を迎えました。しかし旧病院から徒歩10分以内と言っても移転は大変なことです。なんと言っても医療を継続しながら入院患者さんと設備を移動させなければなりません。ここでトラブルが起これば、病院の将来はないという思いで、全職員が一丸となりました。思いが通じたのか、徳洲会グループの協力のおかげもあり、とにかく無事に移転が終了しました。新病院は大変美しく、周囲に建物がないため周辺の夜間照明も少なく、夜のシルエットがとてもきれいです。

指定管理に移行後5年が経過 病院を運営する重責を感じる

「村上院長の後を頼む」――。昨年末に福岡正博総長(現・名誉総長)から、こう言われました。少し不安もありましたが、「頑張ります」と答えました。この4月1日、私は当院の院長に就任しました。指定管理に移行して5年。前任の村上城子(せいこ)院長(現・総長)の功績は大きく、引き継いで病院を運営していく重責を感じます。この5年間でわかったことは、指定管理に移行しても医療の本質は全く同じであり、患者さんに寄り添い、「患者さんのため」という基本は市民病院の理念と同じであるということです。これからも「患者さんのため」の病院であり続けたいと思います。

皆で頑張りましょう。

PAGE TOP

PAGE TOP