2019年(平成31年)3月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1176 三面
NPO法人 ホスピスのこころ研究所
シリーズ講演会 開講
前野・札幌南病院総長が理事長
NPO法人ホスピスのこころ研究所(理事長=前野宏・札幌南徳洲会病院総長)は、このほど「ホスピス緩和ケアの原点―ホスピスのこころ―を極める 柏木哲夫とシシリー・ソンダース」と題するシリーズ講演会(全6回)を企画、第1回を札幌市内で開催した。柏木哲夫・淀川キリスト教病院名誉ホスピス長を講師に招き、「寄り添うということ」をテーマに講演や前野総長との対談を行った。
終始和やかな雰囲気で進行(右が前野総長)
ホスピスのこころ研究所は前野総長が昨年5月に立ち上げたNPO法人。先人が育んできた「ホスピスのこころ」を継承するとともに、より深く探求し地域に広めることを目的としている。
シリーズ講演会はその活動の一環。全6回を予定しており、日本でいち早くホスピスに取り組んだ柏木・名誉ホスピス長と、“近代ホスピスの母”と言われるシシリー・ソンダース研究の第一人者でもある小森康永・愛知県がんセンター中央病院精神腫瘍科部部長が交互に講演する。柏木・名誉ホスピス長の講演テーマに、小森部長が“ソンダース的解釈”を加え、ホスピスのこころの具象化を試みるのが目的だ。
予想を上回る参加者数で急きょ、通路に座席を設けるなど第1回から盛況
第1回を1月19日に札幌市内で開催。医療従事者や一般の方々など330人が参加した。冒頭、前野総長が挨拶し、あらためて研究所を設立した目的を説明。講演会を通じ「もう一度ホスピス緩和ケアの原点を確かめたり深めたりしましょう」と呼びかけた。
第1部では柏木・名誉ホスピス長が「寄り添うということ」と題し講演。ホスピスの語源などを説明し、患者さんの気持ちを理解する重要性を訴えた。また、今まで2500人ほど看取ってきたなかで、“その人がその人らしい人生を全うするのを支える”から“その人がその人らしい人生を全うするのに寄り添う”に考え方が変わったことを示唆。違いについて、“支えのるは下から”と“寄り添うのは横から”と、方向性の違いを指摘するとともに、寄り添うことでは技術力、人間力、スピリチュアルといった全人的なアプローチが求められるとした。このうち、人間力については聴く力や共感する力など10の力を挙げ、次回の講演で詳述する。
アンサンブルグループ奏楽(そら)によるミニコンサートも
最後に、柏木・名誉ホスピス長は「死は人間的出来事。したがって社会的出来事であって医学的出来事ではない」とし、「エビデンスに基づく痛み・症状のコントロールは確かに大事なことですが、それさえ行えば良いというものではありません」と強調した。
第2部では、柏木・名誉ホスピス長と前野総長による対談。「患者さんと医師の距離感」、「寄り添う際の意識」について意見を交わした。次回は4月20日、小森部長を講師に札幌市内で開催予定。