2019年(平成31年)1月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1169 一面
徳洲会グループ 新・健診部会
質向上と業務量拡大を目指す
稻邊・榛原病院副院長が部会長
未病データの情報提供も
徳洲会グループは新しい健診部会を立ち上げ、大阪府内で初の全国会議を開催した。部会長は榛原総合病院(静岡県)の稻邊富實代・副院長兼健診センター長。同部会は①グループ内の人間ドック・健康診断(健診)事業の質の向上と業務量拡大、②未病データの集約・構築・受診者への情報提供――を目的に活動する。会議には全国から80人超の担当者が集まり、情報共有と活発な議論を展開した。
初の全国会議に80人超参加
全国から健診担当者が集まり情報共有
会議は昨年12月8日に開き、徳洲会インフォメーションシステム(TIS)の髙橋則之・取締役兼導入管理部長が進行。冒頭、医療法人沖縄徳洲会の篠崎伸明・副理事長(湘南鎌倉総合病院院長)が、病院のなかでの健診部門の重要性に触れたうえで、「グループ全員で知恵を出し合い盛り上げてください」と挨拶した。
続いて部会長の稻邊副院長が「今日はグループの健診担当者が一堂に会し、顔を見ることができて嬉しく思います」と喜びをあらわにし、「超高齢社会において予防医療の重要性がクローズアップされています。徳洲会の人間ドックや健診は内容・規模ともに日本一を目指すべきで、それは十分に可能です。存続の危機に瀕する日本の医療を救い、国民を守るために力を合わせていきましょう」とエールを送った。
新版健診システム導入
健診部会に期待を寄せる篠崎・副理事長
参加者の自己紹介の後、髙橋部長と湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の河野晋一・健康管理センター責任者が、「健診部会の目的、活動内容」に関し報告した。まず活動目的として①グループ内健診業務の質の向上と業務量増加、②未病データの集約・構築・受診者への情報提供――を提示。さらに主な活動内容として①全国部会の発足、②メニュー、報告書の統一、③健診システムの更新――を掲げた。
具体的には7月を目安に新版健診システムを湘南鎌倉病院より順次導入、その後、各施設に展開し、運用の統一化、マスター帳票の統一化を実施。また、健診結果のWEB閲覧機能を構築し、4月に各施設での利用開始を目指す。同月からグループ標準コースを各施設で設けることも視野に入れている。これは全国規模の企業への組織的かつ効率的な営業活動を計画しているためだ。
さらに、河野責任者が現状調査の結果を報告。現在、各施設で検査項目名、単位、判定名称などにばらつきがあるため、グループ内で検査マスターの統一化の必要性を訴えた。
グループ標準コース設定
部会長の稻邊副院長は参加者へエール
次に湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の本明博・人間ドック健診センター室長が「統一メニュー・報告書について」をテーマに提案した。同部会は日本人間ドック学会が提示する検査項目をもとに、徳洲会グループの標準コースを設定。人間ドック、健診それぞれの報告書見本に沿って、必要な項目など説明した。
休憩をはさみ、髙橋部長はグループ病院が参加した「健診に関するアンケート」の結果を報告。予約時の待機時間では約半数の病院が1カ月という結果のなか、6カ月という病院もあり、全体をとおし待機時間の短縮を急務とした。また、課題として各病院のマンパワーやスペースの不足、結果送付の遅れなどが浮上、解決に向け意見交換した。
TISの新野太一朗・開発部WEB事業課係長は「PHRシステムの提案」と題し現状を説明。PHR(パーソナルヘルスレコード)は、受診者がスマートフォンなどでWEBを利用し健診結果を閲覧できるシステムで、4月に湘南鎌倉病院と八尾徳洲会総合病院(大阪府)でテストリリース、5月に全病院へのリリースを計画している。システムの概要を紹介した後、開発中の画面を提示しながら解説した。
全国規模でPR展開
続いて、稻邊副院長が業務量拡大のため全国規模の営業活動の重要性について説明。現在、東京都総合組合保健施設振興協会(東振協)の契約医療機関としてグループ7病院、全日本病院協会(全日病)の指定医療機関には14病院が登録していると報告した。
東振協には全国の企業やホテルなどが加盟しており、契約医療機関にならない限り、たとえ病院の目の前にある企業でも人間ドックを受け付けることができないことを強調。また、全日病の指定医療機関は健康保険組合連合会(健保連)の人間ドックを扱えるため、指定を受けるべきとした。
さらに、稻邊副院長は実体験を披露しながら、「営業は経験やテクニックが必要なのではなく、現場のスタッフが一生懸命気持ちを込めて説明する姿が胸を打ちます。皆さんもぜひ外に出てみてください」と訴えた。最後に、稻邊副院長は予防医療に関する研究の協力を呼びかけた後、「予防医療の発展に向けてグループ全員で協力していきましょう」と意気込みを見せた。