2018年(平成30年)12月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1163 三面
急性期病院
生き残るためには
東京医科歯科大 川渕教授が講演
多様なデータや例を示し急性期病院の今後について講演する川渕教授
東京医科歯科大学大学院の川渕孝一・医歯学総合研究科医療経済学分野教授は「医療業界を取り巻く環境変化と今後について」と題し講演した。まず、少子・高齢化や国際化の進展、新興・再興の感染症などをキーワードに挙げ、「予測が困難な時代」と指摘。最近は風水害や地震など自然災害が多いことから、「災害リスク」も考慮するよう呼びかけた。
また急性期病院の今後について言及。国内外の医療のデータや具体的なエピソードを交えながら、“急性期病院”として生き残るには、災害拠点病院や救急医療を含む5疾病5事業、一定の手術症例数や安全性、さらには医療の国際化などへの対応が求められると予想した。広域で見る必要性も訴えた。
急性期病院(床)の削減策にも触れ、まずはDPC(診断群分類別包括評価)基礎係数の削減や機能評価係数Ⅱの適正化、7対1看護配置基準の厳格化と診療実績評価、総合入院体制加算の取得状況といった“兵糧攻め”を予測。加えて、地域医療連携推進法人など病院のグループ化に向けた試みが進む点も示した。
こうしたなかでも「“劇薬”は何といっても医師の働き方改革」とし、医師をはじめ、医療スタッフが集まらない急性期病院は自然と淘汰されていく可能性を指摘した。地域によって人口減少が進むなか、解決策として女性医師やAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)の活用などを示した。