徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)12月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1163 三面

全身拡散強調画像法
低コストでがん検査
高原・東海大工学部教授
MRI使い新手法

東海大学の高原太郎・工学部医用生体工学科教授は、11月度の徳洲会医療経営戦略セミナーで「全身拡散強調画像(DWIBS)法を用いたがんの治療経過観察と検診への応用について」をテーマに講演した。DWIBS法は高原教授が2004年に発表したMRI(磁気共鳴画像診断装置)で全身を撮影する新手法。自由呼吸のまま検査でき、被曝もなく低価格なのがメリットだ。

MRIで全身を撮影する手法を説く高原教授 MRIで全身を撮影する手法を説く高原教授

これまでMRIでの腹部撮影は呼吸運動が邪魔になると考えられてきたが、高原教授の研究により自由呼吸下で撮影しても影響を及ぼさないことがわかった。これにより長時間の撮影が可能になり、細かいデータを測定することで三次元的に全身を撮影できるようになった。

DWIBS法は、PET―CT検査と同様に全身のがん検査ができる新手法。PET―CTは、がんのエネルギー代謝(糖代謝)が高い点に着目し、検索するのに対し、DWIBS法は、がんの細胞密度が高い(細胞と細胞の間が狭い)ところにスポットを当て、細胞間の水の動きをもとにがんを検索する。

DWIBS法は検査時に呼吸を止めずにすみ、造影剤など注射も必要ない。放射線の被曝がないことも大きなメリットだ。とくに診断基準(RECIST)のないがんの骨転移に有望であるとし、「DWIBS法を用いて抗がん剤の早期効果判定をすることで、適時治療介入できます」(高原教授)と強調。

また、欧州がん研究・治療機構(EORTC)では、骨転移の治療経過観察にDWIBS法が第一選択になったことや、画像から定量化が可能になり、病変を数値で判断できるようになったことなど、最新の動向を紹介した。

続いて拡散強調画像(DWI)の原理を解説した後、DWIBS法の臨床応用についても言及。がんの骨転移の経過観察に加え、小児の症例や肋骨骨折、膿瘍など実際に撮影した画像を用いて説明した。

最後に、乳がん検診への応用について提示。現在、日本人の11人に1人が乳がんに罹患(りかん)し、好発年齢は35~60歳と比較的に若い人が多いため、進行がんが見つかると家庭が崩壊する恐れがあることを示唆。しかし、いまだに検診の受診率は低いのが実情で、背景には「痛みがいやだから」、「忙しいから」という理由以外に、「他人に乳房を見られたくないから」という声があることを指摘した。

DWIBS法を活用した乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)であれば、着衣のまま、うつぶせになりMRI検査を受けるだけ。所要時間はわずか10分で終了する。高原教授は「検査時間が短いため、より多くの検診が可能になります」と利点を強調。さらに質の高さについても「MRIは360度感度があり、乳房の奥(胸壁)や脇の下まで、死角なく映ります」とアピール。

さらに、ドゥイブス・サーチの品質管理の必要性にも触れたうえで、高原教授は「ぜひ徳洲会グループの職員全員が、乳がん検診を受けていただけるようになれば良いと思います」と締めくくった。講演終了後には、一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長も、職員に対して検診の大切さを呼びかけた。

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