徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)2月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1121 一面

特養かまくら愛の郷
介護福祉士養成の実務者研修
徳洲会の特養で初開催

特別養護老人ホーム(特養)かまくら愛の郷(神奈川県)は、介護福祉士を養成するための「実務者研修」を開始した。職員のスキルアップや人材確保、社会貢献などが狙い。同研修は介護人材のキャリアパス(キャリアを積むための目指すべき道筋)のひとつとして設けられ、介護福祉士国家試験の受験資格に同研修の修了が盛り込まれるなど注目を集める。同施設は昨年6月に開講。23人が受講し、11月に全員が修了した。18年度は無資格者のみ5月、有資格者は6月の開講を予定している。徳洲会の介護老人保健施設では、あいの郷(埼玉県)が実施。

国試受験資格となり注目集める

「医療的ケア」の演習で経管栄養について学ぶ受講者。色水を栄養剤に見立て、チューブに着脱するトレーニング 「医療的ケア」の演習で経管栄養について学ぶ受講者。色水を栄養剤に見立て、チューブに着脱するトレーニング

実務者研修は介護職に従事する人のキャリアパスを整備する一環で、厚生労働省が新たに設けた資格。従来、介護に関する主な資格は、在宅サービスを担う「訪問介護員(ホームヘルパー)1、2級」、在宅・施設を問わず介護サービスに従事する「介護職員基礎研修」、介護関連で唯一の国家資格である「介護福祉士」だった。

しかし、資格取得後のキャリアパスが不明瞭なことなどが指摘されていたため、国は2012年度に資格制度を変更。「初任者研修」に始まり、「実務者研修」、「介護福祉士」、「認定介護福祉士」の順に専門性を高めていくイメージに1本化した(図)。

図 介護人材キャリアパスのイメージ

実務者研修は20科目にわたる講義内容で、講義時間は計450時間(表)。無資格者はすべて受講しなければならないが、従前のホームヘルパーや介護職員基礎研修の修了者は一部の科目が免除される。また、介護業界全体で人材不足が指摘されていることから、通学以外に、一部の科目を通信教育にするなど、現場の職員が働きながらでも受講しやすい工夫が施されているのが特徴だ。

昨年1月の介護福祉士国家試験から、受験資格に同研修の修了が盛り込まれたこともあり、一層、介護従事者の注目を集めている。

表 実務者研修の科目

人間の尊厳と自立
社会の理解Ⅰ
社会の理解Ⅱ
介護の基本Ⅰ
介護の基本Ⅱ
コミュニケーション技術
生活支援技術Ⅰ
生活支援技術Ⅱ
介護過程Ⅰ
介護過程Ⅱ
介護過程Ⅲ(スクーリング)
発達と老化の理解Ⅰ
発達と老化の理解Ⅱ
認知症の理解Ⅰ
認知症の理解Ⅱ
障害の理解Ⅰ
障害の理解Ⅱ
こころとからだのしくみⅠ
こころとからだのしくみⅡ
医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養など。講義とは別に演習を修了する必要あり)
かまくら愛の郷は神奈川県内39番目の実務者研修指定施設として、昨年6月に開講(定員40人)。主に通信教育で行うスタイルで、初年度の受講者は23人。徳洲会グループ職員が多くを占め、静岡県の施設から駆け付けた職員もいた。スクリーニングを10月、医療的ケアの演習を11月に施設内のホールで行い、12月に全受講者に修了証を届けた。

「無資格の事務職員や旧ホームヘルパーの資格をもつ当施設職員の教育、また当施設以外にも介護の人材育成のお手伝いができればと、社会貢献の一環で実務者研修の実施を考えました」と、三澤隆介・総務副主任。開講の1年以上前から準備を始め、「同研修を管轄する神奈川県と何度も相談・交渉しながら進めました」と振り返る。

開講するにあたり、最も苦労したのがマンパワーを中心とした体制づくり。最低1人の配置が義務付けられている教務主任者には、同施設の磯野雅彦・介護主任と渡辺哲也・介護主任が実務者研修教員講習会(50時間)などを受けて就任したほか、教員は自施設以外にも同じ神奈川県内の介護老人保健施設(老健)かまくら、老健リハビリケア湘南かまくら、特養逗子杜の郷のスタッフと連携し確保。

磯野・介護主任は「要件を満たすための講習会などを受け、教員として登録しています」と説明する。

「スキルアップできる環境を整えたい」とスタッフ(左から、櫻井健一事務長、川出寛子・事務主任、阿部施設長、磯野主任、三澤副主任) 「スキルアップできる環境を整えたい」とスタッフ(左から、櫻井健一事務長、川出寛子・事務主任、阿部施設長、磯野主任、三澤副主任)

スムーズな連携について、かまくら愛の郷の阿部伸子施設長は日頃の取り組みを強調。「もともと神奈川県内の老健や特養9施設の主任クラスが集まり、介護責任者連絡会を定期的に開催。施設間の関係性が構築できていたので、今回もお互いに協力できました」。

教員が現役の主任クラスのスタッフであるため、三澤副主任は「より実践的な内容を教えられると思っています」。今回参加した日本語非常勤講師の山田美香さんは「親切にわかりやすく教えてくださいました」と振り返り、「EPA(経済連携協定)に基づいてフィリピンから来日する介護福祉士候補者に日本語教育をしています。彼らが介護福祉士として成功できるお手伝いができたら」と目を輝かせていた。

阿部施設長は今回の取り組みから「徳洲会の各ブロックで、こうした拠点ができると良いですね」と期待を寄せた。18年度の開講は無資格者のみ5月とし有資格者は6月を予定。2月下旬から受講者の募集を開始する。

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