徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)10月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1105 四面

湘南鎌倉総合病院
集中治療の基本を現場へ
徳洲会で初のFCCSコース

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は8月26日から2日間、集中治療の体験型セミナーであるFCCS(Fundamental Critical Care Support)コースを開催した。同コースは集中治療を専門としない医療従事者が、重症患者さんや急変患者さんの初期対応を中心に習得するのが目的。徳洲会グループで初めての試み。受講生は講義とスキルステーション(実地訓練)により、臨床現場で役立つ集中治療の基本を学んだ。

講師陣(後列)と集中治療の知見を深めた受講者 講師陣(後列)と集中治療の知見を深めた受講者

FCCSコースは米国集中治療医学会が主催しているトレーニングコースのひとつ。

湘南鎌倉病院の小室哲也・麻酔科・集中治療部医師は同コースのインストラクターとして、国内各地の施設で同コースに協力してきたが、今回初めて同院での開催となった。

1日目はプレテストと小室医師による概略紹介からスタート。同コースは集中治療を専門としていない医療従事者が対象で、重症患者さんの管理のための基本的な考え方、集中治療室に入室するまでの初期対応などを学ぶコースであることを説明した。

インストラクターを務める小室医師者 インストラクターを務める小室医師

目的は、①致死的病態に瀕している患者さんを早期に認識し、早期に治療介入する重要性、②重症病態の早期徴候と症状、③重症患者さんの初期評価と早期治療――を理解することにある。小室医師は「重症病態に瀕していることを早期に認識できれば、単純な介入かつ簡便な管理で最大の効果を得られ、さらなる病状悪化を防ぐことができます」と強調した。

続いて、症例を提示し重症度を評価するための考え方を解説。

ふだんの健康状態、現病歴、急に発生した生理学的異常の程度を知ることで、重症度が把握でき、この評価には最初の数分で行うプライマリーサーベイ(主たる生理学的異常を評価)、続いて行う全身検索のセカンダリーサーベイ(根底にある原因を評価)があると説明した。

その後「ショックの診断と治療」、「致死的感染症:診断と抗菌薬の選択」、「神経学的サポート」、「生命を脅かす電解質異常および代謝異常の管理」をテーマに講義が続いた。

午後からはスキルステーションを実施。

「Airway」ブースで気道管理の方法を学ぶ受講生 「Airway」ブースで気道管理の方法を学ぶ受講生

4班に分かれ、4つのブースを順番に回る形で行った。それぞれのブースには外部のインストラクターに加え、同院のスタッフも参加。高機能シミュレーターなどを使い、趣向を凝らした実習を行った。

「R&A(Recognition & Assessment)」ブースでは重症患者さんの兆候を察知し、早期に介入するための評価を学んだ。シナリオを用いたシミュレーションとロールプレイで重症患者さんを診察し、重症と判断する兆候を察知、とくにA(Airway・気道)、B(Breathing・呼吸)、C(Circulation・循環)、D(Disability・意識障害、まひ)に兆候を分類し、初期対応としてすべきことを習得した。

「Sepsis」ブースでは、院内急変のなかでも最も多い敗血症に対しての評価と初期対応を学んだ。シナリオを用いたシミュレーションで敗血症患者さんの評価と初期対応を学び、敗血症のガイドラインに基づいた治療内容について理解を深めた。

「Airway」ブースの目的は気道確保法や気道管理法の習得。気管内挿管までできるトレーニング用のマネキンを用い、気道確保や気管内挿管を学んだ。

とくに用手的気道確保法を中心に学習、受講生は気道管理の方法やその難しさを実感した。

「MET」ブースではシミュレーショントレーニングを実施 「MET」ブースではシミュレーショントレーニングを実施

「NPPV」とは非侵襲的陽圧換気(Non-invasive Positive Pressure Ventilation)のことで、同ブースでは、その適応と実際を知ることが目的。細い気管内挿管チューブを用い気道狭窄(きょうさく)モデルをつくり、NPPVがないと呼吸仕事量が増え、あると呼吸が楽になることを体験。さらに胸郭をバンドで巻いて、拘束性換気障害モデルをつくり、NPPVを用いることで呼吸が楽になることを体験した。

スキルステーションの後は「急性冠症候群と特殊病態」、「集中治療における倫理」をテーマに講義を行い、1日目を終了した。

2日目は講義からスタート。「産科集中治療」、「急性呼吸不全の診断と治療」、「人工呼吸」、「院内急変対策チーム」と題した講義が続き、この日も4つのスキルステーションを実施した。

「MV(分時換気量)」は3つのブースに分かれ、目的はそれぞれ①人工呼吸器の初期設定、②トラブルシューティング、③特殊な疾患の呼吸器管理――を習得。

実習用の人工呼吸器を用い、①初期設定では適切な設定をどうするか、呼吸器のモードや設定の違い、②トラブルシューティングでは、気道内圧上昇アラームが鳴った時に問題がどこにあるのか、問題の解決法はどうするか、空気漏れが生じた時の対処はどうするか、③特殊な疾患の呼吸管理では、成人呼吸窮迫症候群の呼吸器設定、ガイドラインやエビデンスに用いた呼吸器設定――を学び、さらに適切な呼吸器設定とは何かについて深く議論した。

「MET」ブースの目的は、院内急変におけるRRS(Rapid Response System)とその実際を知ることだ。RRSのなかのMET(Medical Emergency Team)についてシナリオを用いシミュレーショントレーニングで学んだ。受講生それぞれに役割を与え、そのなかで急変患者さんに対峙(たいじ)した時の初期評価と初期対応、METへの連絡、急変対応に対するフィードバックとブリーフィングの方法を学習、RRSの運営を体験した。

最後に1日目に行ったプレテストを解説、さらに2日間の理解度を確認するためのテストを実施した。受講者全員が合格し修了書を手にした。小室医師は「本コースを現場で生かしてもらえると嬉しいです。このような院外教育の場がグループ病院に広まると良いと思います」と意欲を見せている。

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