徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

渡慶次 賀博(とけしよしひろ)(沖永良部徳洲会病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

渡慶次 賀博(とけしよしひろ)

沖永良部徳洲会病院院長

2017年(平成29年)10月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1105

現場の意見を尊重した新築移転
島で医療が完結できるよう注力
住民の生活を守るため職員一同力合わす

沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)は、1990年に地元の熱い要望により島唯一の病院として開院。以来28年余りが経過し、この間、地域医療は飛躍的に向上しましたが、月日が経つにつれ病院の老朽化が進み、住民の皆さんは一日千秋の思いで建て替えを願っておられました。

今年、開院28年を迎え、10月にはこれまでの病院を記憶に残していただければと思い、当院を訪問していただくイベントを行い、約70人の方々に訪れていただきました。当院は医療法定床132床(一般病棟62床、医療療養49床、介護療養21床)ですが、島の方々にとって、かけがえのない存在になっていると、職員一同が自負しています。

島で医療が完結することが理想ですが、島外搬送を余儀なくされるケースは少なくありません。下は0歳3カ月の髄膜炎、上は100歳の大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折の患者さん。外科医さえいれば島外搬送せずに加療できたと思うと、医師をさらに補充する必要性を重く感じております。

沖永良部島にはグループホームゆりの郷をはじめ3カ所の福祉施設があります。入所者さんの希望を汲んで、温かい施設にしていきたいと思います。

ひと回り年下の研修医に負けぬよう丸坊主で臨む

私は沖縄市の出身で、琉球大学医学部を卒業後、同大学医学部で研究者の道を歩みました。鹿児島や沖縄で年間100人のハブ咬傷(こうしょう)例がありますが、抗血清を用いた治療で致死的な症例は年間1人いるかどうか。ところが、抗血清の製造方法は黄熱病の研究で有名な野口英世博士がガラガラヘビの蛇毒に対する抗血清を作成した方法とほとんど変わりがありません。そこで私は、血清病のリスクを抑えるためにマウス由来モノクローナル抗体の抗原結合部位(Fab)をヒト免疫グロブリンの定上位(Fc)に移植したヒト化抗体を作成する研究を行いました。

しかし、大学病院から不用と言われ、中部徳洲会病院(沖縄県)に入職。一般外来での診察や治療の経験はありましたが、徳洲会が標榜(ひょうぼう)する救急患者さんを診察する経験は皆無でした。そこで、同院の安富祖(あふそ)久明総長(現・一般社団法人徳洲会副理事長)と伊波潔院長にお願いして、若い初期研修医と研修を受けさせていただきました。研修医たちはひと回り年下、彼らに負けないよう初の医局会には丸坊主で臨みました。研修の2年間は「ハードワーク・ハードトレーニング」で、指導医のサポートもあり初期研修を修了。

当院に赴任したのは2016年。病院は海岸沿いの丘の上にあり、常に潮風にさらされ塩害による老朽化が進んでいました。台風時には雨漏りがすさまじく、フロアが水浸しになるほど。台風の襲来前から、職員たちはアルミサッシの窓の隙間に新聞紙を詰める作業だけでなく、雨漏りのする病室のベッドを他の病室や廊下に移動させました。

徳田虎雄・前理事長の時代から建て替え案はありましたが、島の人口減少や建築資材の高騰など厳しい現実の前に、構想はいつしか消失。

一度は頓挫した新築移転も現実を注視しいよいよ実現

そうしたなか、鈴木隆夫理事長や安富祖・副理事長が現実を注視し、昨年7月に地鎮祭を実施、建て替えが実現したのです。

今年12月開院の新病院は現病院の横手にあり、4階建てで今の病院のスペースよりも小さくなりますが、患者さんにとって使いやすい施設になります。1、2階が診察、処置、内視鏡、CT(コンピュータ断層撮影装置)室、MRI(磁気共鳴画像診断装置)室、手術室などを設置。産婦人科外来と分娩室は、分娩(ぶんべん)室の隣が手術室なので、異常分娩の対応がスムーズになります。3階から上は病棟で大部屋はすべて4人部屋。

移転に際しては看護師など現場のスタッフの意見を重視しました。どの徳洲会グループ病院も移転時には現場の声を重視しています。患者さんに最も長く接するのは看護師で、看護師たちの声を聞くことはすなわち患者さんの意見でもあるのです。

11月23日、新築移転の内覧会を行います。沖永良部島は人口1万2000人強の離島ですが、私たちは島の皆さんの生活を守るため、これまで以上に医療・看護・介護に注力していきます。徳州会の〝生命だけは平等だ〟の理念の下、グループの支援をいただきながら、島で医療が完結できるように患者さんや家族のための医療を実現させる所存です。皆で頑張りましょう。

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