2017年(平成29年)9月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1101 四面
高校生向け看護体験に
定員2倍の190人応募
羽生総合病院
羽生総合病院(埼玉県)は「ふれあい1日看護体験」を実施した。高校生を対象に年1回企画しているイベントで、今回は定員100人に対し過去最高の約190人が応募。7月から8月にかけ4回に分けて行った。参加者は患者さんと会話をしたり、AED(自動体外式除細動器)の使い方などを学んだりした。終了後、感想を語る場面では「看護師になる夢が一層、強くなった」、「コミュニケーションの大切さを感じた」といった声が上がっていた。
“断らず”4回に分け実施 来年5月の新築移転へ弾み
多くの高校生が参加
取材当日は3回目の開催。近隣の高等学校9校から計46人が参加した。はじめに松本裕史院長が挨拶。看護師の制服に身を包んだ参加者に歓迎の意を示すとともに、同イベントに参加して自院に入職した看護師がいることを紹介。「今日1日いろいろな体験をして、今後の進路選択に役立ててほしいと思います」とエールを送った。
“小さな命の音”を聞こうと目を閉じて集中する参加者
続いて、関口幸子・看護部長が講演。徳洲会グループの創設経緯や自院が開設した背景、自院の看護部の方針、関連する近隣の医療・介護施設の役割と、それぞれで求められる看護師の業務などについて、スライドを用いて説明した。各部署の看護師や交流活動、自院のオリジナルキャラクター「はっぴーはにゅはにゅ」も紹介した。また、自院の新築移転にもふれ、新病院に関する設備などを示した。地域事情にも言及。羽生市の現状や国の方針で地域包括ケアシステムの構築が各地域で進められていることなどを解説した。
その後、参加者はグループに分かれ、院内で看護体験。担当の看護師の指導を受けながら、小児科病棟では新生児の心音を専用の聴診器で聞いたり、障がい者病棟や一般病棟では、患者さんの手浴・足浴をサポートしたり、脈をとったりした。ナースステーションにいる患者さんとのコミュニケーションや実際に車いすを押す体験もした。
昼食後は検査室や透析室を見学。担当スタッフからX線装置や透析装置などの使用目的、仕組みについて説明を受けた。最後に人形を用いてAEDの使用方法と心臓マッサージの正しい方法を学習し終了した。
AED の使い方や心臓マッサージで正しい手の当て方などを学ぶ
教師からの勧めで参加した平井祐輝さんは「現場は想像以上に大変だと感じました。夢は理学療法士ですが、今回現場を見ることができ、もっと関心が大きくなりました。今度はリハビリテーション関係の現場も見てみたいと思います」と満足げ。また、ドラマを見て感動したのをきっかけに看護師を目指している吉川蒼生さんも「大変そうなのに看護師さんがニコニコして患者さんと接しているのが印象的でした。看護師になりたいという思いを一層、強くしました」と目を輝かせた。
関口・看護部長は「医療や介護は国家資格をもつ人の集合体。それだけ社会への貢献が大きい職業だと思っています。今回の体験をきっかけに、ひとりでも多くの医療・介護従事者が当院はもちろん日本全体に増えると良いですね」と期待を寄せた。
新病院の完成に向け工事は着々と進む
同院は同イベントの案内を郵送などでは行わず、高校に直接訪れて説明。学生が毎年入れ替わることから、必ず案内してきた。かつては訪問先の件数や応募者数を制限していたが、松本院長が院長職に就いてからは訪問先の範囲を拡大し、定員を超えても対応。そうした活動が少しずつ実を結び、定員の約2倍の応募者数となった。
「現場は大変だと思いますが、せっかく地域から頼りにされているのだから『断るな』と。新病院が完成すれば、もっと広い場所でできるので、さらに地域に貢献できるでしょう」と松本院長。新病院は来年5月に完成予定。9月26日には上棟式を行う。「全工事の50%程度ですが、順調に進んでいます。来年の看護体験は新病院で行うので、より多くの参加を楽しみにしています」(大川啓二・事務部長)。