徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

遠藤 清(えんどうきよし)(生駒市立病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

遠藤 清(えんどうきよし)

生駒市立病院院長

2017年(平成29年)9月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1101

市立病院の顔と徳洲会グループの顔
ダブルスタンダードの完成を目指す
市民のニーズに応えるため本番はこれから

幼い時はプロ野球選手か小説家になりたいと思っていました。高校2年生の終わり頃に、職業について少し考えました。ただ、自分の性格を考えると、何かしら目の前の人から感謝されるようなことがないと、一生の仕事としてやっていく自信がないと思いました。その時、浮かんだのは警察官、教師、医師でした。そのなかで、まず医師を目指してみようと考えました。

生駒市は奈良の北西部に位置し、大阪中心部に電車で20分ほどという地の利から、大阪、奈良市のベッドタウンとして育ちました。新興住宅が毎年のように建設され、子どものいる世帯も多く、教育熱心なことでは全国でも有名です。しかし、この地には、約10年前に総合病院が閉院して以来、中核となる総合病院が存在していませんでした。市民は救急医療、小児医療、産科医療を中心とした総合病院を求め、住民運動まで起こし、2015年6月に設立されたのが、生駒市立病院です。市立病院ですが、病院運営は徳洲会という指定管理者方式をとっています。

自分が生駒の医療変えたい 募る思いが院長就任後押し

私は1989年に大学医局からの派遣で、宇治徳洲会病院(京都府)に入り、その後20年以上を徳洲会で過ごした後、いったん徳洲会を退職し、2012年1月から生駒市内の民間病院で医療を実践してきました。徳洲会で会得した医療知識、技術を最大限に発揮し、生駒市民の健康を少しでも向上させようと5年余り努力しました。

歴史のある民間病院は地に根を張り、生駒市民を熟知したうえで医療を展開しており、今まで経験した徳洲会の医療とは少し切り口の違ったものでした。私には、ある意味斬新で、苦労もありましたが、得たものはそれ以上でした。私の専門は外科であり、無輸血の手術をしていることから、この民間病院で無輸血の肺がん手術、肝臓がん手術、すい臓がん手術など多領域の手術を行い、少しでも生駒の医療が充実するように頑張りました。しかし、個人的には生駒には中心となる総合病院が必要という思いが、いつもありました。そうしたなか生駒市立病院ができたのです。

当初は期待しました。生駒の医療体制がさらに整備されるものと思いました。しかし、何も伝わってきませんでした。どのような診療を、どのくらいしているかわかりませんでした。建物も医療機器も優れているはずなのに、どうしたのかと。私の生駒に対する思いが、医療の充実への欲求が、日ごとに募っていき、いつしかそれが、自分が生駒市立病院で、自分の志す医療も、市民の渇望する医療も、展開したいという気持ちになっていました。

産科と救急医療に加え小児科の充実も視野に

今年9月1日、生駒市立病院院長に就任しました。見ると聞くとは大違いという言葉がありますが、まさに当院の実情がそうでした。救急搬送受け入れ件数は地域の民間のどの病院よりも多く、医療内容も充実したものが多いことがわかり、少しホッとしました。

しかし、本番はこれから。前院長の今村正敏総長が中心の産科医療、「患者さんを断らない」をモットーとする救急医療は、市民のニーズに応えていると思いますが、小児医療はまだ入院できる体制がとれていません。しかし、来年1月から、小児科常勤医師が来られることが決定しており、今後、小児医療も充実していくものと思われます。

当院は市立病院の肩書をもち、運営は徳洲会という徳洲会グループのなかでも特色のある公設民営病院です。私は生駒市に暮らし、生駒市民の望む市立病院をしっかりとつくっていきたいと思います。また、徳洲会の一員として、しっかりとした経営を行い、他病院との連携のなかで徳洲会全体の医療の充実、とくに外科分野で若手医師たちの技術的な教育や病院間の情報共有などを企図しています。

「ダブルスタンダード」という言葉は、一般に良いことには使われないことが多いかもしれません。しかし、私が描く当院の将来構想は、市民のニーズにできるだけではなく、最大限に応える市立病院としての顔。また“生命だけは平等だ”の理念を胸に秘めた3万人を超える職員が集う日本最大の民間医療組織、徳洲会グループの一員としての顔。このふたつの顔をもつダブルスタンダードを完成させることだと考えています。

皆で頑張りましょう。

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