2017年(平成29年)9月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1101 三面
特別寄稿
病院運営における情報の
一元化とその利用 ㊤
多角的視点から病院の質を向
尾﨑勝彦 徳洲会インフォメーションシステム社長
徳洲会インフォメーションシステム株式会社は、徳洲会グループの情報を一元化する目的で、2009年10月28日に設立しました。当初、徳洲会病院がすでに導入していた2社(F社製・S社製)の電子カルテ統合から始まり、今では62病院の電子カルテのベンダー(供給会社)を統一。また、医療データのマスターコード(管理番号)についても約8割のコードを統一しました。コードの統一は、コメディカルや事務職で組織する部会(グループ横断的な会合)と当社が中心になって行っています。ネットワークにおいてはグループ全70病院が閉域網のVPNを整備しており、62病院の電子カルテも同ネットワークに接続されています。
こうした環境の下、徳洲会グループの各種データを一元管理し、グループ内におけるBIツール(病院運営管理ツール)の構築を行っています。BIツールは患者さん、医療スタッフ、社会環境、経営など多角的視点から、病院の質を高めることを目的としています。具体的には経営指標、臨床指標、医療安全、患者満足度、業務量、人事指標の6つのカテゴリーごとにデータを分類・抽出・加工することで、経営の詳細分析や業務の効率化、患者さんへのサービス向上を支援しています。また、各々の指標で62病院のベンチマークを表示でき、自院の運営状況を客観的に把握することが可能です。
BIツールのメニューは6つのカテゴリーごとに分類されたレベル1というメニューと、各部門の所属長が使用できるレベル2というメニュー、全職員が閲覧できるレベル3というメニューがあります。レベル1は、より詳細な情報を閲覧できるため、利用者の法人承認、利用時の指紋認証が必要となります。レベル2は各部門の所属長がID、パスワードを用いて利用することができます。項目によって分析手法は異なりますが、グループ全体の状況から病院・科・部門・個人・疾患ごとにドリルダウン(より詳細に分析)できるようになっており、全体の指標を示すとともに、科・部門・個人・疾患ごとに指標を示すことが可能です。
カテゴリーごとにデータを分類・抽出・加工するBIツール
病院を運営していくうえで、ヒト・モノ・カネに加えて情報が総合的に不可欠ですが、現実ではそれぞれの分野で独立してシステムが稼働していることが多く見受けられます。たとえば人事システムと電子カルテはどうでしょう。職員の入退職があれば、人事システムと電子カルテ双方で登録・修正・削除が必要となる二元的な管理を行っています。また、多くの人事システムのパッケージは、一般企業をベースに設計されているため、人が動くたびに施設基準の登録・変更・取消が欠かせません。個人ごとの専門・認定資格の管理などに至っては、システムにないものが多く、エクセルや自前のソフトで別管理している病院が少なくありません。
私たちの人事・給与システムは病院運営に特化した形で、こうした問題を解決できるように設計しています。モノの購入については薬品管理システム(MEDITIS(メディティス)、当社開発商品)、材料管理システム(ZAITIS(ザイティス)、同)により、仕入れ金額を病院間でベンチマーク(共通の指標で比較)して最安値が把握できます。このように電子カルテだけではなく人事・給与データ、薬品、材料など物品データ、経理データなどを一元的に管理することが、病院運営管理に求められていると思います。