徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)8月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1094 四面

徳洲会初の最優秀賞
福岡徳洲会病院 瀬上・副看護部長

厚労省と日看協が主催の第7回「忘れられない看護エピソード」

瀬上・副看護部長(前列中央)は、ほかの受賞者、関係者とともに記念撮影(写真は日看協提供) 瀬上・副看護部長(前列中央)は、ほかの受賞者、関係者とともに記念撮影(写真は日看協提供)

福岡徳洲会病院の瀬上希代子・副看護部長は「第7回忘れられない看護エピソード」の看護職部門で最優秀賞を受賞した。同賞は、厚生労働省と日本看護協会(日看協)が毎年5月の「看護の日・看護週間」にあたり、看護職や一般の方々を対象に看護の現場で体験した心温まるエピソードを募集、入賞作品を表彰するイベント。第7回は全国から過去最多の3,578作品が寄せられ、看護職部門と一般部門で10作品ずつ入賞。

瀬上・副看護部長は初応募で徳洲会グループ初となる最優秀賞受賞の快挙。表彰式では参加者から「看護管理者がスタッフの看護を認めて表現してあげることはとても大切」と言葉をかけられた。式では「看護の日」PR大使の女優・川島海荷さんが最優秀作品を朗読した。

「看護師であれば誰もが看護観を左右するような経験をしているはず。心に残ったことを言葉にする大切さを今回、あらためて感じました」(瀬上・副看護部長)作品(原文)は以下のとおり。

「忘れられない親子の姿~血のつながりってなんだろう~」

作品に登場する“Yさん”こと片渕由貴・感染管理室副主任(感染管理認定看護師)は「NICU のスタッフ全員で喜んでいます」 作品に登場する“Yさん”こと片渕由貴・感染管理室副主任(感染管理認定看護師)は「NICU のスタッフ全員で喜んでいます」

長くNICU(新生児集中治療室)で看護師長として勤務してきた。その中で、忘れられない「親子の姿」がある。

ある日、1人の赤ちゃんが入院してきた。Aちゃんは低体温で入院した。しかし、もう1つの理由は「育児者がいない」というものだった。

周りの赤ちゃんは両親が面会に来ている。看護師たちは、面会のないAちゃんを抱っこしたり、目を合わせて話し掛けながら授乳するなど、できる限りの愛情を注いでいた。

担当看護師Yさんは、Aちゃんの日記をつけていた。毎日少しずつ大きくなっていく体重、増えていくミルクの量をはじめ、看護師がどれだけAちゃんをかわいいと思っているかをつづり、写真や手・足型を取って、日記に貼っていた。「大好きだよ」のメッセージと一緒に。

3週間の入院で、Aちゃんは乳児院へと退院し、その後のAちゃんについての情報が病院に入ってくることはなかった。

それから5年後。Aちゃんの里親さんから「担当していた看護師に話を聞きたい」と連絡があった。Yさんは他部署へ異動していたが、連絡をとり、お会いする機会を持った。

特別養子縁組をしてB家の長女となった、5歳の笑顔のかわいいAちゃんは、お母さんと一緒に会いに来てくれた。お母さんはAちゃんが物心つくころには事実を話していたこと、愛情深く育てていること、そして生まれてすぐに入院した病院で看護師たちにとてもかわいがってもらっていたことを、Yさんの日記を見せて話をした、と教えてくださった。

「『愛されていた』ということの証となる日記を作ってくださってありがとうございます」とお礼を言っていただいた。

NICUという環境の中で、時には血のつながりって何だろう、と考えることがある。Aちゃんを取り巻いた色んな形の愛情からは、人と人とのつながりの奥深さと、愛情をもって接することの偉大さが感じられた。

若い看護師であったYさんも、今は一児の母である。とても愛情深い育児をしながら、看護師としてがんばっている。

PAGE TOP

PAGE TOP