2017年(平成29年)6月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1087 四面
日本静脈経腸栄養学会の認定歯科医
徳洲会グループで初取得
村山・岸和田徳洲会病院医長
岸和田徳洲会病院(大阪府)の村山敦・歯科口腔(こうくう)外科医長は、日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)の認定資格「認定歯科医」を取得した。徳洲会グループで初。同資格は「静脈栄養や経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識・技能を有する歯科医師」を認定するJSPEN独自の制度で、今年度からスタートした。資格取得には規定の条件をクリアしなければならない。認定期間は交付日から5年間。村山医長は「ひとりでも多くの患者さんが口から食べられるように、今後も研鑽(けんさん)を積みたい」と意気込む。
栄養サポートチームに積極参加
認定証を手に笑顔の村山医長
JSPENの認定歯科医は今年度から始まった資格制度。歯科医師を対象に、静脈栄養や経腸栄養を用いた臨床栄養学について優れた知識・技能を有していることを担保している。
従来、同学会の認定資格には、医師を対象とする「認定医」と「指導医」のほか、管理栄養士、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、診療放射線技師、歯科衛生士などを対象とする「NST(栄養サポートチーム)専門療法士」があり、歯科医師はNST専門療法士に含まれていた。
近年、食事の経口摂取や誤嚥(ごえん)性肺炎の予防といった観点から、口腔ケアの重要性が認識され、診療報酬上で医科歯科連携やNSTへの歯科医師の参加などが評価されるようになったことをふまえ、同学会は歯科医師を独立させた認定制度を創設。NST専門療法士の認定対象国家資格からは歯科医師を外した。
認定歯科医の要件は①日本の歯科医師免許取得から5年以上経過、②指定された同学会主催・共催のセミナー受講、③同学会学術集会の2回以上の参加、④筆頭演者として同学会学術集会(支部を含む)での発表、⑤同学会認定の委員会が適切と認める学会や研究会での臨床栄養に関する発表(筆頭、共同を問わない)あるいは司会、座長などを計2回以上経験(一部例外あり)―― など。
これらを満たした後、年1回実施する試験に合格すれば、認定歯科医となる。
認定有効期間は交付日から5年間。更新する際は一定の要件を満たさなければならない。
他職種と回診する村山医長(右)
岸和田病院は2004年からNSTに注力。毎週金曜日の午後、自院の基準から栄養サポートが必要な患者さんを抽出し、回診するほか、カルテだけを縦覧してメンバーが協議する“カルテ回診”も実施している。定期的な勉強会も欠かさない。
村山医長は13年11月からコアメンバーとしてNST活動に参加。世界各国の医師を対象とした臨床栄養の教育プログラムTNT(Total nutrition therapy)を受講したり、NST専門療法士の資格を取得したりするなど、研鑽に励んだ。
現在、回診時には村山医長を含め歯科医師2人、歯科衛生士1人が常に同行し、嚥下(えんげ)や口腔機能に関するアドバイスを送るなど、専門知識を生かした支援を実践。
かつてに比べて、経口摂取により栄養状態が改善した患者さんが増えているという。
村山医長は、4年間の活動が認定歯科医の要件を満たしていることから、資格取得を決意。認定歯科医第1号には村山医長を含め、全国13人の歯科医師が名を連ねた。徳洲会では村山医長のみ。
全国の認定歯科医連携なども視野に
村山医長は「資格を取得できてほっとしています」と笑顔。
「認定歯科医の名に恥じぬよう、今後もひとりでも多くの患者さんをサポートするとともに、口腔ケアと在院日数との関係を検証するなど、臨床的な研究も行っていきたい」と意欲的だ。
将来的には「横のつながりもできたら」と、全国の認定歯科医との連携や協力体制の構築なども視野に入れている。「歯科に関心を寄せる医科の先生も年々、増えているように感じます。嚥下や口腔ケアなどが注目されていることもあり、今後、認定歯科医は増えていくと思われます」。