2017年(平成29年)6月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1087 二面
日本IVR学会
関・吹田徳洲会病院センター長
優秀論文賞を受賞
優秀論文賞の表彰式で記念撮影する関センター長(左から2 番目)
吹田徳洲会病院(大阪府)がんカテーテル治療センターの関明彦センター長は、日本IVR学会(画像下治療に関する学会)第16回優秀論文賞を受賞した。表彰式は第46回同学会総会会期中(5月18日から3日間、岡山県)の19日夜に行った。
論文のテーマは「肝細胞癌に対するエピルビシン含浸 superabsorbent polymer microsphere を使用したDEB-TACEの局所奏功因子」。肝細胞がんにエピルビシン溶出性のビーズ(塞栓材料)を用いた肝動脈化学塞栓術(DEB-TACE)を施行した際に、どのような症例で局所奏功するかを予測をした。
2007年5月~12年12月に施行した治療のうち123例が対象。結果、肝辺縁部に位置する比較的大きな病変に対し、選択的に治療することがDEB-TACEの成功予測因子となった。
田中医長はステントを使った実験の結果を解説
同学会総会では徳洲会から口演2演題があった。関センター長は「癌性症状の積極的緩和を目的とした局所化学療法」がテーマ。がん性症状の原因と考えられる標的臓器の栄養動脈にカテーテルを挿入し、抗がん剤を動注した際の症状改善率を評価した。結果、難治性局所痛20例は1カ月後85.0%、3カ月後90.0%、出血17例は1カ月後100%、3カ月後94.1%など、さまざまな症例で高い改善率を示した。重篤な有害事象などは見られなかったことから有効な治療法とアピールした。
名古屋徳洲会総合病院の田中昭光・循環器内科医長兼ハートセンター長は「すでに留置されている腸骨動脈ステントのstrut越しに新たなステントを留置した際のbailoutの検討」と題し発表。表題の状態に陥った場合に、何㎜のバルーンを用い何気圧で拡張すれば、ステント(金属製の網状の筒)のstrut(金属部分)を破壊しbailout(救済)できるか実験した。
EPICというステントの場合、エッジ部分なら5㎜バルーン、中心部分なら9㎜バルーンで、どちらも18atmの気圧が必要なことがわかった。このほか3種のステントの実験結果も報告。同テーマは「第34回小倉ライブ」でも優秀演題を獲得した。