直言
Chokugen
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直言 ~
宗像 博美(むなかたひろみ)
湘南藤沢徳洲会病院院長
2017年(平成29年)6月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1087
ある日突然、鈴木隆夫・徳洲会理事長から「院長になってもらう」と言われ、まさに寝耳に水の感がありました。私は昨年4月に入職し、当院(神奈川県)の副院長として、篠崎伸明院長(当時、現・湘南鎌倉総合病院院長)の補佐役でしたが、諾否の時間はありませんでした。
福島県出身の私の父は整形外科医で、患者さんを気遣う姿を目の当たりにして子ども心に医師のあり方を学びました。
私は縁があって2015年、東日本大地震の被災地である福島県浪江町の二本松仮設診療所に月数回の割合でお手伝いに行っていました。同町の医療提供体制の充実に少しでもお役に立てないかと考えるようになり、徳洲会に支援のお願いに行ったことがあります。徳洲会とNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)による震災時の医療支援活動に対する感謝の意を込めた訪問でもありました。
この時お会いした鈴木理事長と当院の篠崎院長(当時)の「マンパワー的に可能であれば徳洲会として応援チームの編成をしてもよい」という意向に感じ入り、良い医療を目指す徳洲会の施設で働きたいと思い入職したのです。
代表的な病院機能評価には、JCI(国際医療施設認証)と日本医療機能評価機構の病院機能評価があり、当院は両方とも認証を取得しています。これらは基本ラインであり、安全・安心な良質の医療を提供していくための人材育成ツールと考えています。現在、2つの評価体系の共通の評価項目をまとめて、両方の審査に対応できるような委員会の編成を行っています。
当院の救急搬送受け入れ件数は、16年度は1万件弱でした。各部署がフル稼働で患者さんに対応していますが、緊張と忙しさのなかで大切にしているのは、患者さんに寄り添う姿勢です。徳洲会グループの全施設がそうだと思いますが、当院もスタッフ全員の誠実さ・真摯(しんし)さ・心意気がとても強く感じられる病院であり、誇りに思っています。こうした組織風土が地域の他の医療機関からの信頼にもつながり、紹介件数の増加にも結び付いていると考えています。
医療は、ひとつの病院で完結するものではありません。医療圏内で完結することが理想です。そのためには地元医師会や行政と今まで以上に密に連携していくことが望まれます。
私はいろいろな視点からのスタッフ教育が必要と考えていますが、ともすると後回しにされがちなのが接遇です。接遇教育は、患者さんに少しでも気持ち良く医療を受けていただくために必要ですが、スタッフ同士がお互いに快適に仕事をしていくためにも非常に大切なものです。①服装、身だしなみ、②名札、③挨拶、④患者さんや来院者への言動、⑤無駄話や私語を慎む、⑥気分や精神状態が仕事に悪影響を及ぼさないように心がける、⑦スタッフの人格を尊重、⑧一期一会の心で誠心誠意の応対、⑨患者さんが満足または感動できるように心がける、⑩患者さんや家族に安心感を与える、⑪自己啓発に努める、⑫指示命令は生き生きとした口調で出す、または受ける、⑬電話対応では所属、氏名を必ず名乗る、⑭報告、連絡、相談は必ず遅れずに行う、⑮患者さんの顔を見て理解度と満足度を確認しながら対応、⑯患者さんの対応中に他の用事に対応する時は「失礼します」などの言葉を添える、⑰適宜「お疲れ様でした」などの言葉をかける、⑱困っている患者さんがいたら積極的に声をかける、⑲相手の要望に応えられない場合は「申し訳ありません」などの配慮の言葉をかける、⑳院内を案内する場合、時間があれば、その場所まで同行、院外の人に対しては、スタッフに敬称を付けない、電話での問い合わせの際「気を付けておいでください」などの配慮の言葉をかける―― などは、とても大切な接遇の基本です。
当院は、今年5月にJMIP(ジェイミップ)(外国人患者受入れ医療機関認証制度)認証機関となりました。今後、海外から来られた方たちを診療する機会も増えていきます。それに対応していくためにも接遇の心(おもてなしの心)がとても大切になってきます。社会性・国際感覚を磨いて、海外からの患者さん・健診の受診者さんとお付き合いしていくことが、より強く求められます。
皆で頑張りましょう。