徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)6月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1087 三面

湘南厚木病院
NST活動に注力
多職種で栄養状態を改善

湘南厚木病院(神奈川県)はNST(栄養サポートチーム)活動に注力している。これは、多職種の専門性を生かしながら入院患者さんの栄養状態を改善し、治療効果の向上、合併症の予防、在院日数の短縮などを目指す取り組みだ。同院は毎週、多職種が参加するカンファレンス(症例検討)を開き、患者さんごとの栄養管理の方針を検討しチームで回診するなど積極的に活動を展開している。

回診では患者さんのベッドサイドを訪れ、声をかけたり容態を確認したりする 回診では患者さんのベッドサイドを訪れ、声をかけたり容態を確認したりする

湘南厚木病院は医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士からなるNSTが、毎週金曜の午後にカンファレンスと回診を実施。介入対象はアルブミン値が3.0g/㎗(グラムパーデシリットル)以下の入院患者さん。アルブミンは、血液中の血清に含まれている主要なたんぱく質の一種で、栄養状態や肝機能を示す代表的な指標だ。基準値は3.8~5.3g/㎗前後で、この基準値を大きく下回ると栄養障害が疑われる。

入院時の採血結果を基にスクリーニング(ふるい分け)を行うが、アルブミン値が3.0g/㎗以下でなくても、術後の経過が芳しくない患者さんや誤嚥(ごえん)性肺炎などで食事を摂るのが難しい患者さんは対象としている。

同院栄養室の小佛有貴・管理栄養士(NST専従)は「ご高齢の患者さんほど入院時の栄養状態が悪い傾向があります。栄養状態が悪いと入院期間も長くなり、その結果、ADL(日常生活動作)や認知機能の低下を招くなど悪循環に陥ってしまいます。一日でも早く在宅復帰していただくために、患者さん一人ひとりの体調や嚥下(えんげ)(物を飲み込むこと)機能に合わせて、栄養状態の改善に努めています」と説明する。

カンファレンスで情報共有し栄養管理の方針などを協議 カンファレンスで情報共有し栄養管理の方針などを協議

具体的には、安井誠一・救急科部長(副院長)、小佛・管理栄養士、薬剤部の菊地佑季・副主任(薬剤師)、看護部の越尾美奈・看護副主任、リハビリテーション科の二瓶太一・言語聴覚士らが集まりカンファレンスを実施。主訴や病歴、入院後の経過などをふまえ、多職種が情報共有を図りながらエネルギー(カロリー)、タンパク・アミノ酸、水分の各項目に関して、投与内容や投与方法(経口、経腸、経静脈)、投与量などを検討している。

取材で訪れた日のカンファレンスでは、新規7人、継続7人の計14人が対象。心不全、冠動脈疾患、意識障害、圧迫骨折、肺炎疑いなどを主訴に入院した患者さんたちだ。

このあとNST回診を行い、検討した患者さんのベッドサイドを訪れ、言葉をかけながら容態を確認。安井部長は「ご飯は食べられていますか」、「食べないと身体の具合もよくなりませんから、食べたいものがあったら言ってくださいね」、「栄養を入れていますから、きっとよくなりますよ」と栄養摂取の大切さを呼びかけながら診察した。

同院は術後に体力低下などから食欲が衰えた患者さん向けに、通常の病院食と異なる特別食の提供を実施。「どうしても食べられないという時には、食べるきっかけをつくるために、患者さんの希望に沿って料理を出しています。頻繁にできることではありませんが、天ぷらやラーメン、うどん、甘いものなどの希望が多いですね。塩分や糖分などを抑えるために工夫した料理を出しています」(小佛・管理栄養士)。

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