徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)3月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1075 四面

高い効果狙い日中に実施
嚥下口腔ケア 栄養サポートチーム回診
湘南鎌倉総合病院

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)はNST(栄養サポートチーム)活動の一環で他院の歯科口腔(こうくう)外科医師と連携し、嚥下(えんげ) ・口腔ケア回診を実践している。従来は夕方に週1回、NST回診を行い、口腔外科医師も参加していたが、病棟スタッフとの連携強化などを目的に、昨年5月からNST回診と嚥下・口腔ケア回診を分け、嚥下・口腔ケア回診を昼食時に行い、回診時間を変更して行っている。その結果、栄養管理、嚥下・口腔ケアに対するスタッフの知識や意欲の向上につながり、なかには経管栄養から経口摂取に回復したケースが見られるなど、成果が現れている。今後、同院はさらにNST活動を充実させるとともに、取り組みを検証し、学会などで発信していく方針だ。

地域の歯科口腔外科医師と連携

「ひとりでも多くのスタッフの理解を得て、NSTをさらに充実させたい」と日髙部長 「ひとりでも多くのスタッフの理解を得て、NSTをさらに充実させたい」と日髙部長

嚥下・口腔ケアは、口腔の病気や全身疾患の予防を目的に、口腔内の清潔保持や嚥下(口の中に入った食べ物や飲み物を飲み下すこと)などの機能維持・改善を図ることができる。たとえば、口腔内にできている潰瘍を治療したり、口腔内が乾燥すると痰(たん)や古い粘膜がこびりついて細菌が増殖、肺炎の原因となるため、舌を刺激して口腔内を潤したり、歯ブラシを用いて清潔にしたりする。

とくに高齢者は口腔内が乾燥しやすく、誤嚥(ごえん)性肺炎などの要因となることから、近年、医療・介護施設で取り組むケースが少なくない。

湘南鎌倉病院は2006年にNSTを設置。小林修三副院長を筆頭に、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士(ST)、臨床検査技師のほか、入院患者さんとNSTを結び付ける“リンクナース”を各病棟に配置し、30人以上がNST活動に参加している。

その活動の一環として、昨年から嚥下・口腔ケア回診を実施。09年からNST回診で、嚥下・口腔ケアに関してアドバイスをいただいている横須賀市立市民病院の三宅哲・歯科口腔外科診療部長の協力の下、看護師、ST、管理栄養士、薬剤師が昼食時に病棟を回り、口腔ケアが難渋している患者さんや病棟看護師からの申し出があった患者さんに対し、嚥下機能の改善や口腔内の清潔保持を行っている。

回診で患者さんの口腔内や嚥下の状態を確認する三宅部長(左から2人目)や須釜副主任(その右)ら 回診で患者さんの口腔内や嚥下の状態を確認する三宅部長(左から2人目)や須釜副主任(その右)ら

「入院患者さんの多くが高齢の方。口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防、食べられる口を目指して始めました」とNSTのコアメンバーのひとり、須釜典子・栄養管理センター副主任(管理栄養士)。

当初のNST活動は週1回、夕方5時から3時間かけて実施していたが、当該患者さんと最も接するスタッフとの連携が希薄になりがちなことが課題として浮かんだ。

「活動の開始時間がちょうど日勤帯と夜勤帯のスタッフが入れ替わる時間のため、病棟担当看護師とかかわる時間が十分に確保できませんでした。情報共有など現場とNSTとの関係を強化するためにも、活動について見直す必要がありました」(須釜副主任)。

活動開始時間を1時間早めるなど、何度か改善を試みたものの、抜本的な解決には至らず、昨年5月から活動開始時間を日中に前倒し。回数も週1回から2回(水、木曜日)に分け、1回約1時間半かけて病棟を回るように変更した。

その結果、患者さんの食事摂取量の確認や担当のスタッフとのコミュニケーションが直接行えるようになり、口腔ケアで対応している患者さんの口腔内の状態が全般的に改善。

三宅・診療部長も「以前にも増して良くなっているように思います」と手応えを口にする。回診する際、スタッフに対して患者さんの状態を聞いたり相談に応じたりするだけでなく、三宅・診療部長らNSTのメンバーが口腔ケアについて教育することも欠かさない。

なかには栄養管理、口腔ケア、嚥下訓練を強化し、経管栄養から経口摂取にまで改善した患者さんもいる。

「上の歯がなく、入れ歯もない方が入院されました。下の歯が上唇に当たってしまい、ある時、舌や口唇に潰瘍ができていたので、薬を塗ったガーゼをかんでもらうなど口腔ケアを行ったところ改善。通常のNST回診やリハビリテーション、看護ケアなどの強化により、最終的に経口摂取が可能になりました」(須釜副主任)。

効果は患者さんだけではない。NSTのリーダーを務める日髙寿美・血液浄化部長は「NSTメンバーのモチベーションにもつながりました」と説明する。

「以前は週1回で対象の患者さんすべてを診ていたので、夕方から始めて夜8時過ぎまでかかっていました。2回に分けて行うことで、メンバーの負担軽減にもつながっています」。

病棟看護師をはじめ、ほかのスタッフから寄せられる相談件数が増えるなど、栄養や食事、口腔ケアに対する理解も深まっている。「昼間に実施できるようになったのは、看護部をはじめ、さまざまな部署に協力していただいたおかげです」と謝意を示す須釜副主任。

今後は成果を検証するとともに、口腔ケアに介入する基準、口腔ケア方法、物品の整備など、さらに充実させる意向だ。

三宅・診療部長は「経口摂取にしたいと思っていても、口腔内が乾燥しているなど、そのための“準備”ができていない患者さんが少なくありません。個人的には、NSTの最大目標は栄養状態の改善ですが、最終目標は経口摂取だと思っているので、NSTの活動を通じて口腔ケアを考えていくべきだと考えています」。

日髙部長も「当院の口腔ケアを含めたNST活動の底上げを図るためにも、できるだけ多くのスタッフに関心をもってもらえるように努めたいと思います」と意欲を見せている。

PAGE TOP

PAGE TOP