徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)3月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1075 三面

日本集中治療医学会学術集会
徳洲会は51演題と多数

第44回日本集中治療医学会学術集会が3月9日から3日間、札幌市で開催された。メインテーマは「集中治療と集中治療医学」。徳洲会は企画セミナー、シンポジウム、ワークショップ、一般演題(口演・デジタルポスター)で合計51演題を発表した。口頭発表の6題の概要を紹介する。

企画セミナー

病態を意識した治療を

山本博之 成田富里徳洲会病院(千葉県)循環器内科部長 山本博之
成田富里徳洲会病院(千葉県)循環器内科部長

「Ejection Fractionの保持された心不全:病態、診断、治療」左室収縮機能が低下した心不全(HFrEF)とは別に、左室収縮機能が保持された心不全(HFpEF)が高頻度(40~50%)存在する。

山本部長は、HFrEFはさまざまな病態が解明され、数多く治療法が確立、予後が改善してきているのに対し、HFpEFの治療法は確立されておらず、予後も改善していないことを報告。

「両者には臨床的特徴、心室構造や心機能の根本的相違があり、急性心不全治療に対する反応がそれぞれ異なります」と指摘し、「心不全症状、身体所見や血中ホルモンのBNP(血液中に分泌される脳性ナトリウム利尿ホルモン)値では、正確に両者を区別することはできないため注意が必要です」と指摘した。

急性期治療としては、利尿剤や降圧薬の選択に加え、上室性不整脈のコントロールが鍵となることを紹介した。
病態を意識した治療を

武富太郎 野崎徳洲会病院(大阪府) 麻酔科部長 武富太郎
野崎徳洲会病院(大阪府) 麻酔科部長

「肝移植手術とViscoelastic Hemostatic Assays(VHAs)」VHAとは血液凝固分析装置の略で、近年ようやく日本でも周術期の管理に使われるようになった。武富部長は、肝移植周術期の止血凝固の動態には、いまだ不明な点が多いことを指摘し、肝移植で凝固系の変化と具体的なVHAの活用法、臨床での対処法について論じた。

具体的には、肝移植で見られる線溶(血液凝固に関わる線維素が酵素の作用で溶けること)は心臓移植で見られる軽度なものではなく、VHAは線溶亢進の検出に有用であることや、VHAの使用によりFFP(新鮮凍結血漿(けっしょう))の使用量が減らせることなどを示した。

シンポジウム

薬剤師のICU専従化

立石裕樹 福岡徳洲会病院 薬剤部 立石裕樹
福岡徳洲会病院 薬剤部

「当院ICUにおける薬剤師の活動状況」昨年4月から自院でICU(集中治療室)担当薬剤師を平日常駐とした取り組みを紹介。薬剤師主導の回診を新たに始め、効果として薬学的介入件数が約2倍に増加したことや、呼吸状態の悪化が病態でなく薬剤的な問題だった事例を報告した。使用する薬剤の種類が多いICUでのインシデント(事故につながる可能性のある事態)防止など、質の高いチーム医療に貢献できることをアピールした。

ワークショップ

ICUとECUの連携

小室哲也 湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 麻酔科・集中治療部医師 小室哲也
湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 麻酔科・集中治療部医師

「相互扶助のベッド運営~湘南鎌倉総合病院ICUとECUでの工夫~」自院のICUとECU(救命救急治療室)間のベッドコントロールの実態を報告。双方の間に共通認識を生み出すためマニュアルや手順書を統一化し、共通のスタッフを介在させ業務内容の差異を縮小することで、互いのベッドを容易に利用できるようになると指摘した。

今後、より円滑なコミュニケーションを図るため、相互理解を深めることを課題に挙げた。

口 演

MEWSの課題洗い出し

内藤敬子 札幌東徳洲会病院 看護部副主任 内藤敬子
札幌東徳洲会病院 看護部副主任

「当院におけるMEWS(ミューズ)導入後の現状と課題」MEWSは、患者さんの状態の急変を早期発見し、重症化や心肺停止などを未然に防ぐツール。札幌東病院は2015年12月に導入した。内藤副主任は16年4~7月までを対象にMEWSの使用状況などを検証。
導入半年と間もないこともあり、未入力項目の発生やデータ不足(予期せぬ院内心停止数、ICU・HCU[高度治療室]予定外入室数など)といった課題が見られたことを報告した。今後は、①バイタルサイン(生命兆候)入力の徹底(とくに呼吸数)、②リアルタイムのMEWS評価、③MEWS評価のためのデータ収集・分析―の3つを進める意向を明かした。
腸管虚血を内科的治療

高橋雄治 湘南鎌倉総合病院 救急総合診療科医師 高橋雄治
湘南鎌倉総合病院 救急総合診療科医師

「広範な腸管気腫症と門脈気腫症をきたしながら保存的集中治療により救命し得た重症腸管虚血の1例」予後不良所見とされている腸管気腫症(PCI)と門脈気腫症(PVG)が見られた高齢患者さんのケースを提示。腸管壊死(えし)も疑われたため手術が必要と考えたが、耐術不能との判断から内科的集中治療のみを行い、救命に成功した。

さらにこのケースを含む10症例を検討し、PCIやPVGは重要な画像所見であるが、必ずしも腸管壊死を示唆するものではないと報告した。

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