徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)10月14日 火曜日 徳洲新聞 NO.1513 4面

八尾徳洲会病院
手術支援ロボット「サロア」順調
力覚再現しより直感的な操作可能

八尾徳洲会総合病院(大阪府)は手術支援ロボット「Saroaサージカルシステム」を導入、順調に症例を重ねている。同システムは力覚(触覚)の再現を最大の特徴とする国産の医療機器。ロボットアーム先端の鉗子が臓器に触れたり、つかんだりする力を術者にフィードバックする。モニターの視覚情報と合わせ、より直感的な操作が可能となり、手術の精度向上が期待できる。同院は今春に初症例を手がけ、肝臓がんを中心に10例を実施(10月10日時点)。近い将来、離島・へき地の患者さんもロボット支援手術が受けられるように、同機器による遠隔手術の実現も視野に入れている。

「サロアは離島・へき地医療を支えるツールになり得る」と木村副院長 サロアは3本のアームが特徴的なペイシェントカート(左)とサージョンコンソールで構成

サロアは3本のロボットアームを有するペイシェントカートと、主にアームを操作するサージョンコンソールで構成。アームの先端に鉗子やカメラ(内視鏡)を装着し、それらを術者が離れた場所から操作して手術を行う。

最大の特徴は力覚を再現する機能。独自の空気圧精密制御技術によって、鉗子に加わる力を制御情報から推定し、操作ハンドルにフィードバックする。術者はモニターに映し出される視覚情報とハンドルから伝わる力覚により、遠隔操作でありながら実際に自分の指で手術を行っているような感覚で手術することができる。直感的な操作で鉗子に加える力が調整しやすくなり、臓器を傷つけるリスクの低減が期待できる。

また、空気圧駆動を採用しアームの稼働などにともなう部品使用を少なくしたことで、軽量かつコンパクトなデザインを実現。手術室内のスタッフの動線確保や施設内での移設が行いやすい点も特徴だ。

八尾病院は今春に1例目を手がけ、導入を積極的に進めた木村拓也・副院長兼肝臓外科部長が執刀。その後も肝臓がんを中心に行い、10月10日現在、症例数は10例と順調に伸ばしている。

木村副院長は「力覚の感触も良く、術者も安心して手術に臨めると思いました。行った手術はすべて成功し、患者さんの状態も安定しています」と強調。続けて「当初は慣れる意味でも私が行い、途中で当科の藤井貴子部長が術者の資格を取得したこともあり、肝臓領域の症例が多いのですが、最近は縦隔腫瘍の手術も行っています」と説明する。

離島・へき地医療を充実へ 遠隔操作の早期実現に協力

手元のハンドルで離れた場所からアームを操作し手術を行う木村副院長

同院が導入した手術支援ロボットはダヴィンチに続き2台目。今後も併用していくものの、木村副院長は「同じ位置付けではありません」と指摘、その意図をこう説明する。

「サロアはダヴィンチと同じ手術支援ロボットでも、まったく別物。乗り物で言えば車とバイク。それぞれの特徴、次世代の手術支援ロボットの使い方などを考えた時に、サロアは徳洲会が行っている離島・へき地医療支援のツールになると思いました。離島・へき地の方にもロボット支援手術の選択肢はあったほうが良い。その思いからサロアを選びました」

サロアはコンパクトかつ軽量のデザインに加え、ペイシェントカートとサージョンコンソールに直結しているケーブルをはずしても操作が可能で、地理的に離れた場所からの遠隔操作にも対応。ただし、そのような遠隔操作は通信環境や運用ルールなど種々の問題から、現時点では実用化に至っていない。

それでも木村副院長は、昨年6月に自院で一般社団法人徳洲会、大阪大学大学院医学系研究科、開発元のリバーフィールドの三者が、低軌道衛星通信を活用した遠隔手術の実証実験を行い成功したエピソードを挙げ、遠隔手術が実現に向け着実に進んでいることを強調。

「たとえば、当院が定期的に支援している徳之島徳洲会病院(鹿児島県)であれば、エレベーターで機器を運ぶことも可能。今は複数の医師が訪問して手術していますが、遠隔手術が実現すれば、移動することなく当院からアームを操作して徳之島病院にいる患者さんを治療することもできます」と声を弾ませ、「この先3~5年程度で、遠隔医療も含めサロアの手術支援ロボットとしての成熟度が増すことを期待します。当院も協力していきたい」。

同院を含め、徳洲会グループで導入している手術支援ロボットは現在、27病院・計34台に上る(表)。

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